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『モリー先生との火曜日』 ~ミッチ・アルボム~ [「ドキュメンタリー系」]


 人生のコーチが死の前に
 教えてくれた
 いちばん大切なこと


 ノンフィクション不朽の名作

 スポーツコラムニストとして活躍するミッチ・アルボムは、
 偶然テレビで大学時代の恩師の姿を見かける。
 モリー先生は、難病ALS(筋委縮性側索硬化症)に侵されていた。
 16年ぶりの再会。モリー先生は幸せそうだった。
 動かなくなった体で人とふれあうことを楽しんでいる。
 「憐れむより、君が抱えている問題を話してくれないか」
 モリーは、ミッチに毎週火曜日をくれた。
 死の床で行われる授業に教科書はない。
 テーマは「人生の意味」について。



普及版 モリー先生との火曜日

普及版 モリー先生との火曜日

  • 作者: ミッチ・アルボム
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2004/11/21
  • メディア: 単行本




<著者のプロフィール>
 ミッチ・アルボム(Mitch Albom)
 フィラデルフィア出身。
 1970年代後半、ブランダイス大学の学生時代に社会学教授の
 モリー・シュワルツと出会う。
 卒業後、プロミュージシャンを目指すが、挫折。
 コロンビア大学でジャーナリズムの修士号を取得し、
 デトロイト・フリープレス紙のスポーツコラムニストとして活躍。
 AP通信によって全米No.1スポーツコラムニストに過去13回選ばれている。
 本書Tuesdays with Morrieは、ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー・
 リストで4年間1位を続けるなど、世界的なベストセラーとなる。
 2003年には初のフィクションThe Five People You Meet in Heavenを
 発表。現在、妻ジャニーンとミシガン州フランクリンに在住。


<その他の著書>
 『もう一日 for one more day 』
 『天国の五人』


<著者のHomePage等>
 『Mitch Albom website』(英文)


<この本との出会い>
 Teitterで勝間和代さんがお勧めの本を募集していて、その中の1冊です。
 


<本の構成>

 カリキュラム
 講義概要
 学生
 視聴覚教室
 オリエンテーション
 教室
 出欠確認
 最初の火曜日<世界を語る>
 第二の火曜日<自分をあわれむこと>
 第三の火曜日<後悔について>
 視聴覚教室<第二部>
 教授
 第四の火曜日<死について>
 第五の火曜日<家族について>
 第六の火曜日<感情について>
 教授<第二部>
 第七の火曜日<老いの恐怖>
 第八の火曜日<かねについて>
 第九の火曜日<愛はつづく>
 第十の火曜日<結婚>
 視聴覚教室<第三部>
 第十二の火曜日<許しについて>
 第十三の火曜日<申し分のない1日>
 第十四の火曜日<さよなら>
 卒業
 むすび
 訳者あとがき

 ページ数 203ページ
 読書時間 3時間


<以前紹介した著書>
 なし


<関連動画>
 なし


<関連記事>
 音楽朗読劇『モリー先生との火曜日』





<本文からのご紹介>
 


 第四の火曜日<死について>


 「こういう考えを出発点にしよう。誰でも死ぬことはわかっているのに
 誰もそれを信じない」
 この日のモリーは、てきぱきと事務的だった。テーマは死。例のリストの最初の
 項目だ。ぼくが着く前に、モリーは白い紙に忘れないように二、三メモを書きとめていた。
 手が震えるので、もう当人以外誰にも判読できない。労働者の日が間近で、仕事部屋の
 窓から裏庭の緑の生垣が見え、通りで遊ぶ子どもたちの声が聞こえてくる。学校が始まる前の
 最後の自由な週を楽しんでいる。
 デトロイトでは、新聞スト参加者が祝日を期して大規模なデモの準備に大わらわ。経営者に
 組合の連帯を見せつけようという算段だ。来るときの機中で、ある女性が就寝中の夫と娘
 ふたりを射殺したというニュースを読んだ。「悪い人たち」から守るためだったとか。
 カリフォルニアでは、O・J・シンプソン裁判の弁護団が超有名人にのしあがっている。
 ここモリーの仕事部屋では、人生が一日一日と貴重な時を刻んでいる。いっしょに座った
 ところからほんの1メートルほどへだてて、新しく備えつけられたものがある―酸素吸入器だ。
 小型で持ち運び可能、高さ30センチあまり。モリーが十分呼吸できない夜など、長いプラス
 チックの管を蛭よろしく鼻孔に取りつける。何にせよ器械につながれているモリーの姿など
 考えるのもいやで、つとめてそこから目をそらしていると、モリーがまたくり返して言う。

 「誰でもいずれ死ぬことはわかっているのに、誰もそれを信じない。信じているなら、
 ちがうやり方をするはずだ」
 みんな自分をだましているんですね。
 「そのとおり。しかし、もっといいやり方があるよ。いずれ死ぬことを認めて、いつ死んでも
 いいように準備すること。そのほうがずっといい。そうしてこそ、生きている間、はるかに
 真剣に人生に取り組むことができる」
 死ぬ準備なんて、どうすればいいんですか?
 「仏教徒みたいにやればいい。毎日小鳥を肩に止まらせ、こう質問させるんだ。
 『今日がその日か?用意はいいか?するべきことをやっているか?なりたいと思う人間に
 なっているか?』」
 モリーは、実際に小鳥がいるかのように、ぐるりと首を肩のほうに向けた。
 「今日が、私の死ぬ日かな?」
 モリーはどんな宗教からもいいところを自由に取り入れた。生まれはユダヤ教だが、子どもの
 頃いろいろな目にあったことが一つの原因で、十代のとき不可知論者になった。仏教やキリスト
 教の哲学にもある程度共鳴するものの、依然、文化的にはユダヤ教に安らぎを感じている。
 宗教についてはいわば雑種で、そのことが長年教えてきた学生たちに対していっそう寛容な
 姿勢をとれるもとでもあったのだ。この世の最後の何カ月でモリーの口から語られるもの、
 それはすべての宗教のちがいを超えている。死がそれを可能にする。

 「実はね、ミッチ。いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べるんだよ」
 ぼくはうなずいた。
 「もう一度言っておこう。いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べる」そう言って
 にっこり笑うモリーのやり方がぼくにはよくわかった。あれこれ質問してぼくが気まずい
 思いをすることを避け、要点をまちがいなくのみこめるよう気を配っている。それもモリーが
 すぐれた教師であるゆえんだった。


 『モリー先生との火曜日』P84~P86より




 この本は、売れっ子スポーツコラムニストが、恩師で難病ALSに侵された
 モリー先生と死の床でインタビューを行うという形式で進められております。
 このモリー先生の授業は、死と愛についてが中心なのですが、特に、死に関する講義は
 実に解りやすく表現しております。
 アメリカ等では死の教育として、デスエデュケーションは一般的に行われて
 いるそうですが、日本ではあまりなじみのない言葉だと思います。
 具体的には、本文から紹介した”第四の火曜日<死について>”で書かれています。
 モリー先生は、”いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べる”と言っております。
 漠然と生きるのではなく、いかに死ぬのかを見つめ直すことにより、これからやるべきこと
 今やるべきことが見えてくるはずなのですね。
 そして一日一日を、死への準備は出来ているか?やるべきことをやったか?なりたいと
 思う人間になっているか?を自分自身に問うことで、後悔の無い人生になるのではと
 言っております。デスデスエデュケーションはとても重要な教育だと思います。 
 やはり少子化の今、教育の現場でもデスエデュケーションを行うことは大切なのでは
 ないかと思っております。




『奇跡の居酒屋ノート』 ~松永洋子~ [「ドキュメンタリー系」]


 NHKの『おはよう日本』『ニュースウオッチ9』などで
 紹介され話題沸騰中!


 サラリーマンの街・新橋の居酒屋で8000人を超える人々の
 「本音」が記録された「高校ノート」の書き込み・秘話・
 23年間の知られざる歩みを初公開!



奇跡の居酒屋ノート ~全国1200高校の卒業生と女将が紡ぐ物語

奇跡の居酒屋ノート ~全国1200高校の卒業生と女将が紡ぐ物語

  • 作者: 松永 洋子(新橋・有薫酒蔵女将)編著
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2010/03/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



<著者のプロフィール>
 新橋有薫酒蔵女将 松永洋子(まつなが ようこ)
 取材・執筆 武内孝夫(たけうち たかお)


<その他の著書>
 なし


<著者のHomePage等>
 新橋有薫酒蔵のホームページ


<この本との出会い>
 NHKで放映された番組で知り購入しました。


<本の構成>
 まえがき 大都市の片隅で生まれた「奇跡のノート」
 第一部 「奇跡のノート」誕生秘話
 第二部 「ノート」に綴られた物語の行間を読む
 第三部 祖父・青木繁、実父・福田蘭童、そして有薫酒蔵との出会い
 第四部 日本列島縦断・全国「高校ノート」を読む
 年譜
 あとがき
 協力者一覧

 ページ数 254ページ
 読書時間 3時間


<以前紹介した著書>
 なし


<関連動画>
 新橋有薫酒蔵



<関連記事>
 WebR25
 新橋のビジネスマンに大人気!?“高校寄せ書きノート”酒場探訪




<本文からのご紹介>

 新橋・有薫酒蔵と高校ノートのこと


 同店の立地は日本経済を支えるサラリーマンの「聖地」のど真ん中、
 駅近で、霞が関の官庁街、お台場も近く、客層は有名企業を中心に官僚や公務員も多い。
 出身高校も多様で、地方出身者が目立つ。面識もないのに、同じ高校の出身と
 いうことだけで「ノート」を通じて同窓生が出会い励ましあう。
 高校を卒業し、就職・進学で東京に出てきてがむしゃらに働いた後、ある年齢に
 なると出身地や母校がふと気になる。この「ノート」が話題になったのは、
 一昨年のリーマンショックの直後で、その影響がノートの内容にも現れる。
 日本経済を下支えした人々が、束の間の酒宴の場で「本音」を記したのがこの
 ノートでもある。
 高校の思い出だけではなく、定年後の選択、親の介護問題、会社での苦労―まさに、
 人生の縮図が書き込まれている。


 『奇跡の居酒屋ノート』帯より




 ドキュメンタリー好きで良く見るのですが、これまたテレビで
 見かけて即、本を購入してみました。いや~実に個性的で面白い居酒屋ですね。
 その歴史は23年間で全国1200の高校の「高校ノート」が存在しているそうです。
 第四部の日本列島縦断・全国「高校ノート」を読むと題して、80高校の高校ノートの
 一部が紹介されております。私の母校はありませんでしたが、それぞれの高校にまつわる
 思い出が記述されており、なかなか楽しく読ませていただきました。
 ちなみに、有薫酒蔵に行っても卒業生のみ閲覧可能ですので、自分の高校ノート以外は
 みることは出来ないそうです。
 新橋には何度か飲みに行きましたが、こんな素敵な居酒屋の存在は知りませんでした。
 でも、銀座に近く雑踏の街新橋だからこそ、こんな素敵な居酒屋が存在したのですね。
 とかく、Internetの世の中だからこそ、こんなアナログな世界に温かみを感じて
 しまうのかもしれません。
 ちなみに、私の母校は統廃合により廃校になってしまい、ちょっと寂しい気分ですが
 母校の思い出は忘れずにいたいな~と感じました。





『老朽マンションの奇跡』 ~井形慶子~ [「ドキュメンタリー系」]

 「住みたい街No.1」吉祥寺で
 築35年のメゾネットを500万円で買って
 「ロンドンフラット」に再生!


 見棄てられたガラクタ物件をわずかな予算で理想の家に作り替え。
 不況の今だからこそ叶う住宅取得の裏ワザが炸裂する。

 あなたの住宅観を変える疾風怒涛のドキュメンタリー


老朽マンションの奇跡

老朽マンションの奇跡

  • 作者: 井形 慶子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/11/18
  • メディア: 単行本



<著者のプロフィール>
 井形慶子(いがた けいこ)
 長崎県生まれ。
 日本外国特派員協会会員。
 ザ・ナショナルトラスト・ブランド顧問。
 大学在学中からインテリア雑誌の編集にたずさわる。
 その後、世界60カ国に流通する外国人向け情報誌を創刊。
 28歳で独立、出版社をおこし、情報誌「ミスター・パートナー」を発刊。
 出版社経営のかたわら、イギリスについての著作を執筆。


<その他の著書>
 『古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家』
 『お金とモノから解放されるイギリスの知恵』
 『少ないお金で夢がかなうイギリスの小さな家』
 『運命をかえる言葉の力』
 『イギリス式月収20万円の暮らし方』
 『日本人の背中』


<著者のHomePage等>
 イギリスから豊かな暮らしと行き方を考えるミスターパートナーHomePage

 この本で紹介されているリフォーム専門の常陽サービスのHomePage


<この本との出会い>
 当ブログからAmazon経由でお買い上げ頂いた方がいました。
 私も面白そうなので購入してみました。
 お買い上げ頂いた方ありがとうございます^^


<本の構成>
 はじめに
 第一章 住宅営業マンの悲鳴
 第二章 普通の人々の住宅政策
 第三章 たそがれロンドンフラットを再現
 第四章 200万円の丸裸リフォーム
 第五章 高級マンションを半値で買う時代
 第六章 増える空き家とさまよう日本人
 第七章 ガラクタ物件の壮大な夢
 あとがき

 ページ数 253ページ
 読書時間 3時間


<以前紹介した著書>
 なし


<関連動画>
 なし


<関連記事>
 Japan Business Press  若者はいつまで家賃を搾取され続けるのか



<本文からのご紹介>

リフォーム前.jpg

 はじめに

 本を書きながら、英国生活情報誌を発行する小さな出版社を経営する私は、給与明細表を
 チェックするたび、釈然としない思いにとらわれる。30人近い従業員の半数近くは20代~
 40代の独身男性。親元から通っているパラサイト族はわずかで、大半の地方出身者は賃貸
 生活を送っている。
 彼らの給与から社会保険、住民税などを差し引くと、支給額は20万円足らずとなる。ここ
 から毎月7~8万円近くの家賃が削り取られるのだ。若者が東京で部屋を借りて仕事を続ける
 ことは、大きな支出を伴うと心が痛む。所得の低い若者たちは、住むために働いていると
 言っても過言ではない。そう考えると給与を支払う私も空しくなる。
 大学進学を機に長崎の実家を出て状況した瞬間から、住まいの問題は私の前にも大きく
 立ちはだかった。どこに、いくらの部屋を借りるのか。風呂はあるのか。駅は近いのか。
 新宿、渋谷、原宿まで電車でどれくらいかかるのか。
 既刊の著書に書いたが、私が最初に借りた部屋は、東京都下の山並みを望む月1万円の農家の
 納屋だった。仕送り5万円のみという制約は、平均3万5千円の風呂付アパートを夢のものと
 したからだ。
 2階建の納屋を見た両親は、素晴らしい田園風景だ、勉強に集中できると絶賛した。けれど、
 長崎の湾に面した美しい庭のある実家で育った私が、アリが壁を這い、ネズミが天井を走り
 回る、農耕具の入った荒れ果てた「小屋」を受け入れるまで、葛藤がなかったといえば
 嘘になる。気持ちを切り替え、嬉々と年季の入った納屋の改装に励み、2階の和室に何とか
 自分の居場所を作り出したものの、風呂は母屋でもらい湯。洗濯機も家主に貸してもらう
 生活は、朝帰りした日や疲れた夜は、正直わずらわしくもあった。
 その都度、家賃1万円。この安さに勝るものはないと言い聞かせた。ところが都心まで出掛け
 るたび、1千円札はたちまち小銭に変わってしまう。JRで1時間の電車代がわずかな生活費を
 圧迫した。こうして安い郊外の住まいには、不便さとバカ高い交通費がつきまとうと知った。


リフォーム後.jpg


 『老朽マンションの奇跡』P19~P20
 画像はJapan Business Pressより転載です。



 これまたコーチングやメンタルヘルスとは関係のない本のご紹介になりました。
 でもこの本めちゃめちゃ素晴らしい本です。超おすすめです。
 ストーリを簡単に説明しますと、吉祥寺で築35年のオンボロマンションを500万で
 購入し、リフォーム代200万でロンドンフラットのマンションに再生させたと言う内容です。
 でも、単なるリフォーム自慢や投資の話ではなく、その背景がとても素敵なんですよね。
 本文から紹介した、”はじめに”も軽く書かれているのですが、著者の井形さんの
 思いというのは、井形さんも若いころ感じたことなのですが、若者たちは家賃を払うために
 働かざるおえない状況なのではないかということです。
 井形さん自身はイギリスでの留学時代に、同じ島国でもイギリスと日本の住宅に関する
 考え方の大きな違いを感じていたそうです。
 イギリスの若者は、まず中古の安い物件を購入し、それらを自分の手でリフォームし
 リフォーム後は友人等を誘いルームシェアをすることにより、高い家賃の呪縛から
 のがれているそうです。日本人も最近は少しルームシェアと言う言葉もちらほらと
 聞こえ始めてはおりますが、まだまだ、高い家賃を払い独り暮らしにこだわりを
 持っている若者が多数を占めているのではないでしょうか。 
 また、イギリスの若者のように、自分の手でリフォームするなんて考えている
 若者は皆無ですよね。かと言って、リフォームが素晴らしいとか、ルームシェアが
 素晴らしいとかいう内容ではないのです。おそらく井形さんが言いたい事は、
 ただ単純に高い家賃を払えば素晴らしい物件に出会える訳ではないですよ。
 かと言って安い物件を単純に購入しても、この本の明星ハイツのように
 なるとは限りませんよ。でも、大切なのは、いろいろ物件を見たり、いろいろ
 勉強したりして知恵をつけること、不動産屋のいいなりになるのではなく、
 自分で納得のいくまで追及しましょうということなのではないでしょうか。

 この本の主人公と言ってもよいハヤト君はそんな呪縛にもろに絡まってしまってます。
 彼女のため都心にマンションを借りて、それが元で数100万の借金を背負ってしまいます。
 そんなハヤト君を呪縛から解放するために井形さんが立ち上がったという、まさに
 疾風怒涛のドキュメンタリーです。
 もう一人の主人公である、常陽サービスの宇野社長。本文を読んだあと、HomePageで
 顔を拝見しましたが、かなりイメージと違いましたね・・・でもいい人そうですね。
 私の後輩も、高い家賃を払い、まさに家賃の為に働いているのではないかと思うものが
 います。是非とも無理やりにでもこの本を読ませてあげたいな~と思います。





タグ:リフォーム

『すごいぞ日本』 ~産経新聞「すごいぞ日本」取材班~ [「ドキュメンタリー系」]

最先端を走る各種技術、圧倒的な伝統、真似のできない職人の技、世界へ広がる和食やアニメ・・・

これ程の潜在力を持つ国が他にあろうか?

「やばいぞ日本」に続く、産経新聞大型連載「すごいぞ日本」書籍化!


すごいぞ日本

すごいぞ日本

  • 作者: 産経新聞「すごいぞ日本」取材班
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2009/06/16
  • メディア: 単行本



<著者のご紹介>
 この本は、産経新聞紙上に2008年3月から2009年3月まで掲載された連載、
 「すごいぞ日本」を加筆・修正、再構成したものです。
 なお、内容や登場する人物の肩書き等は基本的に連載時当時のものです。
 ※写真と本文記事は左記HomePageからの掲載です。 → 産経ニュースのすごいぞ日本


<この本との出会い>
 以前読んだ「やばいぞ日本」からのつながりです。





<本文からのご紹介>

 大好き! マージドの給水車


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 このイラクの子供たちの笑顔をみていただきたい。つぶらな瞳、少しはにかんだ愛くるしい表情。
 2005年春、外務省サマワ連絡事務所に勤務していた江端康行さん(39)=現・在米日本大使館
 2等書記官=がサマワで給水車を追いかけている子供たちを撮ったものだ。

 うれしそうに見えるのは後ろの給水車に理由がある。日の丸とイラク国旗がみえる。
 日本の政府開発援助(ODA)による。ユーフラテス川の汚れた水を陸上自衛隊が浄水する。
 それを給水する仕組みを外務省が整えて、おいしい水を飲めるようになった。
 ただ、給水車を追いかける理由は少し違う。
 大好きな「キャプテン・マージド」のシールが張られているからだ。マージドとは、「砂漠のペレ」と
 呼ばれたサウジアラビアの伝説のプレーヤー、マージド・アブドウラー選手を指す。
 この名前を冠したテレビアニメ「キャプテン・マージド」は中東で爆発的な人気を得た。
 だが、その正体は日本の「キャプテン翼」である。27年前、週刊少年ジャンプで連載が始まった
 サッカー少年「大空翼」の成長物語だ。世界で放映され、フランスのジダンやイタリアのトッティも
 「翼」にあこがれてサッカーを始めた。
 夢と希望を運ぶ「翼」をサマワの子供たちの身近な存在にできないか-。江端さんがこう考え、
 2004年秋に日本人の力を結集して実現したのが、この「翼」大作戦である。サマワ近くの
 評議会議員は「子供たちは3日も前からマージドの給水車が来るのを楽しみにしているよ」と
 声をかけてきた。江端さんは写真を撮った子供たちを思い浮かべながら雑誌「外交フォーラム」に
 こう綴った。

 「どの笑顔も輝いていた。その姿にとても勇気付けられ、日本人として誇らしく感じた」

 このことに強い関心を示したのはジョン・D・ネグロポンテ米国務副長官だった。国務省日本部の
 担当官が「おもしろい日本人がいる」と持ってきた「外交フォーラム」英語版に目を通したからだった。
 2004年4月から9カ月間、イラク戦争後、初の駐イラク大使として、民心掌握と治安維持に辛酸を
 なめた副長官にとって、江端さんの行動は心に訴えるなにかがあったのだろう。
 今年1月31日、副長官はニューヨークでこう演説した。
 「私は南部イラクにおける日米の歴史的な2国間協力を極めて高く評価しています。
 2004年から2006年まで日本の自衛隊と外務省が駐在したサマワが、現在イラクで最も安定した
 地域の一つであることをうれしく思います。この地域の何万というイラクの男性、女性、子供たちが
 日本の重要な支援によって、よりよい生活を送っています。サマワに駐在した日本の外交官が
 自らの仕事を『日本人として誇りに思う』と記したように、すべての日本人は、日本の貢献がイラクの
 民主化と安定を作り出したことを誇りにすべきでしょう」
 同じ雑誌を読んだ国務省の中東担当官は江端さんにこんな手紙を送った。
 「とても共感できた。血の通った支援は自らの安全に役立つ。住民の目線という立場を米国も
 見習わなければならない」
 江端さんに最近、うれしい知らせが舞い込んだ。「翼」のシールを張った給水車26台すべてが
 4年後の今も、1枚もはがれることなく、現地を走り回っているというイラク人スタッフからの報告だった。
 日本版「軍民協力」のすごさを報告する。



 子供をわくわくさせたい

 現在、在米日本大使館書記官の江端康行さん(39)が2004年5月、自ら志願してイラク・サマワ
 入りしたのは、ある覚悟があったからだ。
 その半年前の11月、奥克彦大使(45)=当時=と井ノ上正盛1等書記官(30)=同=がイラクで
 殺害され、翌12月、東京・青山葬儀所で合同葬が営まれた。参列した江端さんが見たのは、
 井ノ上氏の2歳の長男、鼓太郎ちゃんが夫人の幸乃さん(30)=同=の傍らで、にこにこと
 笑っている姿だった。

 鼓太郎ちゃんが生まれる少し前のことだ。アフリカ・チュニジア大使館に勤務していた井ノ上氏は
 「もうすぐ、初めての子供が生まれるんだ」と、出張に訪れた江端さんにうれしそうに語っていた。
 それからヨルダン、さらにイラクの日本大使館に移った井ノ上氏は「イラク国民の幸福を願い
 活動している」旨の手紙を、家族に送っていた。
 江端さんは合同葬でこう心に誓った。「誰かが遺志を継がなければダメだ」
 イラクへのこだわりもあった。1990年秋、イラクがクウェートに侵攻して間もないころ、
 ハーバード大学に留学していた。国際法講座で湾岸危機が取り上げられ、江端さんは
 日本政府による90億ドルの戦費支援(最終的には130億ドル)を説明した。だが、約20人の級友は
 「金を出せばよいという対応は不誠実だ」「傍観しているだけでは国際社会の責任を果たせない」と
 厳しく批判した。
 「あれほど日本人として情けない思いをしたことはなかった。あの時の借りを返したい」。
 こんな思いを実現するときがようやく巡ってきた。
 初めて目にしたサマワは「無表情でざらついた町」だった。下水やゴミは悪臭を放ち、住民の多くは
 緑色に汚れたユーフラテス川の水に依存していた。そこはスンニ派主導のフセイン政権に見捨てられた
 シーア派の町だった。
 直前まで外務省中・東欧課に勤務していた江端さんにとって、サマワの生活は経験したことのない
 過酷なものだった。
 夏は50度以上、直射日光下では60度を超える。
 寝泊まりする陸上自衛隊宿営地は夜間、迫撃砲やロケット砲で攻撃された。空気を切り裂く飛翔音や
 爆発の衝撃に慣れるのは容易ではなかった。
 江端さんは疲労困憊していた。そんなころ、共に働く外務省サマワ連絡事務所のイラク人スタッフ、
 アリ・ムヒさん(31)=現在・山梨大学医学部学生=が、江端さんの子供たちに手紙を書いた。
 「サマワ市民を代表して手紙を書きます。君たちのお父さんはサマワの復興のために努力して
 くれています。君たちも将来、お父さんのような勇敢で勤勉で誠実で賢い人になってください。
 これをサマワの人々の感謝の印として受け取ってくれたら光栄です」
 江端さんはくじけそうになるとき、この手紙を見ながら、子供たちや妻に恥ずかしくない仕事を
 しなければ、と気合を入れた。
 疲れを吹き飛ばしてくれたのは「ヤーバーニー(日本人)、シュクラン(ありがとう)」と、
 日本の車に笑顔で手を振る子供たちだった。「この子供たちがわくわくするようなことをできないか」。
 目に焼き付いたのは、炎天下の砂漠でサッカーボールを黙々とけっている子供たちの姿だった。
 「キャプテン翼」作戦の始まりである。





 まさにタイトル負けしていない素晴らしい内容です。『すごいぞ日本』は前作『やばいぞ日本』シリーズ
 からの連載企画で、”やばいぞ”の指摘と正反対の”すごいぞ”を集めた内容となっております。
 その掲載内容も多岐に渡り、町工場、ロボット工学、植林事業、商社の再生、食文化、長寿企業、
 本文のご紹介に掲載した政府開発援助、カメラマン、ノーベル賞、スポーツとどれを読んでも元気になる、
 とても素敵な内容です。本文からはイラクのサマワで行われた、政府開発援助(ODA)の活動に
 関して掲載してみました。これは全5編から構成されておりますが、今回は2編掲載しております。
 サマワでの給水活動にこんな素敵な物語が隠されていたとは全然知りませんでした。
 しかもキャプテン翼がこの給水活動に一役を担っていて、それがとても素晴らしい効果を果たしている
 とは・・・。シールは大日本印刷が最高の技術で提供し、キャプテン翼のライセンスも集英社が
 特例で許可を出したなど熱い思いがその裏には隠されているのです。
 続きは是非とも産経ニュースのPageに掲載されておりますので読んでみてください。
 やはり前作の「やばいぞ日本」の感想にも記述しましたが、日本が行っているODAやPKOの内容に
 関しては我々はもっと興味を示すべきですね。是非ともマスコミを積極的に取り上げていって欲しい
 ものです。この他にもまだまだ、日本人のすごいところが盛りだくさんです。
 時にはこんな本を読み、自分が日本人だと言うことを認識するのも良いのかと思います。

 



『やばいぞ日本』 ~産経新聞「やばいぞ日本」取材班~ [「ドキュメンタリー系」]

 経済、教育、外交、資源、国防・・・
 日本を覆う不安の正体、そして再生への希望


 産経新聞の大型連載 待望の書籍化!



やばいぞ日本

やばいぞ日本

  • 作者: 産経新聞「やばいぞ日本」取材班
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2008/02/28
  • メディア: ハードカバー



<著者のご紹介>
 本書は産経新聞で2007年7月3日から同年12月20日まで掲載された連載企画「やばいぞ日本」
 を加筆・修正、再構成したものです。なお、内容や登場する人物の肩書・年齢等は基本的に
 新聞掲載時のものです。


<この本との出会い>
 ふと立ち寄った本屋さんでタイトルにひかれて購入してみました。
 読み始めたら面白く続編の『すごいぞ日本』もAmazonで購入しました。



すごいぞ日本

すごいぞ日本

  • 作者: 産経新聞「すごいぞ日本」取材班
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2009/06/16
  • メディア: 単行本






<本文からのご紹介>

 テロとどう戦う


 ■文明の自衛闘争

 アフガニスタンの貧しさは、見る者の胸をつぶす。子ども5人のうち1人は、5歳まで生きられない。
 一方で、世界のアヘンの93%がここで生産される。国は軍閥が割拠し、かつてタリバンが圧政を
 しいていた。
 破綻国家となったこの地をテロリストは根拠地と定め、ここから世界中に出撃した。タリバンと
 アルカーイダが、この地で再び勢いを得つつある。いま国際社会は、カルザイ政権の要請を
 受けて、アフガン安定化活動を行っている。日本の民主党は、その活動を「米国の自衛戦争」と
 定義する。世界中にそんなことをいっている国はない。
 2001年9月11日にニューヨークを破壊したアルカーイダの基本的考えは、「世界を預言者ムハンマド
 のいた7世紀の時代に戻すべきだ」というものだ。ムハンマド以降の1300年間に人類が築いてきた
 文明は夾雑物(不純物のこと)であり、破壊すべしという主張だ。
 アルカーイダが破壊しようとしているのは、先進国の文明すべてである。ヨーロッパでテロが続発
 しているのも、そのためだ。ウサマ・ビンラーディン(アルカーイダ指導者)は、攻撃対象国として
 日本の名前も何度か挙げている。
 アフガニスタンとイラクで起こっていることは基本的に違う。イラクでの米国の戦闘を「テロとの対決」
 と呼ぶことには違和感がある。そのためか、フランスたドイツもイラクにはいない。
 しかし、アフガニスタンでの活動はテロとの対決そのもの、というのが国際認識だ。
 だからこそ、フランスとドイツを含め、すべての先進国がこの国の安定化作業に参加している。
 その数は約40。
 「アフガニスタン」は、文明がテロから自衛する闘争なのである。

 ■理解できぬ撤退

 世界中の誰もが理解できない理屈で、日本はテロとの闘いから姿を消した。
 テロリストのインド洋お自由使用を阻止してきたのは、10カ国を超える海軍の艦船だ。
 海上自衛隊は、アラビア半島沖合でこれらの艦船に6年間、給油を続けてきた。炎暑の下での
 大変な作業であり、国際社会から高い評価を受けていた。しかし、テロ特措法は失効し、艦隊は
 07年11月23日に日本に帰ってきた。ヨーロッパのメディアはこう書いた。
 「またもや、きつい軍事的任務を他国に恥ずかしげもなく押しつける自己中心の昔の日本に
 なったのか?」
 民主党は、日本の給油活動は「武力行使と一体」と主張し、日本を国際チームから引きはがした。
 論理がわからない。各国の艦船がやっていることは、旗国政府の同意を得て不審船の乗船検査を
 行うパトロール行動であり、戦闘ではない。ましてや、日本は給油していただけだ。
 それでも武力行使と一体だというならば、米軍兵士に食事を供することも武力行使ということになる。
 もうひとつ。民主党は、国連安保理決議がないからインド洋から引けと主張した。安保理決議という
 ものは、拒否権を持つ中国とロシアが「よろしい」といった場合にのみ成立する。中国の反対によって
 人権蹂躙国家のスーダンやミャンマーに対する安保理の非難決議は、いまなお採択されていない。
 日本は、「自分で正しいと考えても中国の了承がなければ行動しません」というわけである。
 それに、民主党が参加を主張するPRT(地方復興チーム)の活動(後述)は安保理決議に基づく
 ものではない。どうもよくわからない。






 この本は産経新聞で連載されていた連載企画「やばいぞ日本」を加筆・修正、再構成したものです。
 構成はプロローグとして、人口問題やハブ港の問題、第二部は教育問題、第三部は外交編、
 第四部は資源ウォーズとしてエネルギー問題、第五部は国防問題、第六部は再生への処方箋として
 希望編、最後に論客者が集まった座談会が掲載されております。
 読んで何より感じたことは、あまりに日本の事を知らなかったな~と感じました。
 本文から取り上げた、インド洋の給油活動の話ですが、きっと興味をしめして調べるとわかること
 だったかもしれませんが、テレビ等でマスコミが報道している内容だけでは、この程度の背景まで
 理解している人は少ないのではないでしょうか?ちなみに私も理解しておりませんでした。
 本文ではこの続きとして、いかに給油活動が安全でしかも効果がある支援なのかが説明されており、
 自衛権しかもたないいまの自衛隊ではその他の支援は、他国の足を引っ張ることにしかならないと
 具体的に説明されております。やはり、ただ単純に戦争はダメとか憲法9条を守ろうを前提とするのでは
 なく、まず現在おかれている状況をきちんと知り、その上で世界のために何ができるかをキチンと
 判断できる仕組みが必要なのではないでしょうか? 国防の問題となると、どこか他人任せの
 感じになってしまうのですが、これこそちゃんと判断しなければ危険な問題ですからね。
 「やばいぞ日本」には続編があり、その続編は「すごいぞ日本」です、今軽く読み始めていますが、
 まだまだ日本も捨てたものでは無いと感じる内容です。もし「やばいぞ日本」を読むのであれば、
 あわせて「すごいぞ日本」も読むことをおすすめします。
 




『拝啓十五の君へ』 アンジェラアキと中学生たち [「ドキュメンタリー系」]

   大反響の感動ドキュメンタリー
 NHK「拝啓 十五の君へ」が一冊に!


アンジェラアキさんの『手紙』が全国に広げた感動の輪。
「先が見えなくて辛くても、自分の声を信じて歩けばいい!」

 悩 み に ぶ つ か っ て い る す べ て の 人 に 贈 り ま す 。


拝啓十五の君へ―アンジェラ・アキと中学生たち

拝啓十五の君へ―アンジェラ・アキと中学生たち

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 単行本



<著者のご紹介>
 アンジェラ・アキ(Angela Aki)
 1977年9月15日生まれ。
 シンガーソングライター、ジャズピアニスト。
 父親は日本人、母親はアメリカ人。
 徳島県板野郡板野町出身
 2005年3月、ピアノ弾き語りミニアルバム『ONE』でCDデビュー。
 同年9月、シングル「HOME」でメジャーデビュー
 2008年、第75回NHK全国学校音楽コンクール中学生の部の課題曲に
 「手紙~拝啓 十五の君へ~」を提供。合唱の練習をする中学生の元をアンジェラが
 訪れた時の模様が5月と9月にNHKの特別番組で放送された。
 9月、同曲をシングルとして発表。
 2009年3月、3枚目のアルバム『ANSWER』を発表。
 また同月、前回放送の後視聴者からNHKに送られてきた2000通の「未来への手紙」を
 元にして撮影された特別番組の完結編が放送された。

                             以上Wikipediaより抜粋



ANSWER<初回生産限定盤>

ANSWER<初回生産限定盤>

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ERJ(SME)(M)
  • 発売日: 2009/02/25
  • メディア: CD



<この本との出会い>
 本屋さんでぶらりと見つけて購入しました。 いやいや出会いですね^^





<本文からのご紹介>

 『手紙』に込めた思い

 アンジェラ・アキさんのメッセージ

 『平成20年度NHK全国学校音楽コンクール 中学校の部』の課題曲を作ってほしい。
 テーマは『そして☆未来へ』。
 そんな依頼をいただいたのは、平成19年の秋のことでした。
 『NHK全国学校音楽コンクール』は、小、中、高合わせ、全国から2000校を超える学校が
 参加する一大コンクールです。中学校の部はその中でも一番の激戦で、参加校は毎年
 1000校を超えると聞きました。
 課題曲といえば、その全国1000校の中学生たちが半年もの時間をかけ繰り返し繰り返し
 歌い込む曲です。
 どんな曲にすれば、中学生のみなさんに喜んでもらえるのか。どんな言葉を用いれば、
 未来への希望を伝えることができるのか。
 それまでの私は自分が歌うための歌しか書いたことがありませんでしたから、依頼をお受け
 したものの、その難しさと責任の重大さにしばらく考え込んでしまいました。

 そんな私に、母から一通の手紙が届きました。
 「これはあなたが10代のときに『これを私が30歳になったら渡して。それまでちゃんととって
 おいてね』と私に預けた手紙です。大事にとっておいたから読んでみてください」という言葉とともに。
 正直、そんな手紙を書いたことすら忘れていたのですが、きっちりのりづけされて容易に
 開かない封を開けてみると、「未来の自分へ」という便箋何枚にもわたる長い手紙が出てきました。
 それには、本当に細かく、いろんなことが書かれていました。
 「Aちゃんにこんなことを言われて、今日もホンマにすごい落ち込んで」とか、「Bくんがすごい好き
 なんだけど、BくんはCちゃんが好きで」とか、「D先生にこんなこと言われて、お昼も食べれなかった」
 とか。少しは音楽のことや将来のことが書かれていてもよさそうなものなのに、最初から最後まで、
 みごとなまでに延々と悩み、というよりもグチのようなものがつづられていたのです。
 おもしろいことに、今の私は、大好きだったBくんの顔も、ごはんが食べれられないくらいショックな
 ことを言われたD先生の顔も、いっさい覚えていませんでした。そのことのほうがショックだったくらい。
 正直、「そんなことで悩むなぁ!」と思うことばかり書かれていたけれど、当時の私は「そんなこと」で
 いっぱいいっぱいだったのだなと思いました。
 そして、それはたぶん、今の中学生も同じなんじゃないかと思ったのです。
 中学生って大人でも子供でもない、本当に難しい時期だと思います。高校生になれば少し大人に
 なれるけれど、中学生はその狭間の中途半端なところでさまよっている。その分いろんなことに
 繊細で、ちょっとして言葉で傷ついたり、絶望したりしてしまう。
 中学生だった頃の自分が手紙によって、まざまざと思い出されてきました。

 私は、父親は日本人、母親はイタリア系アメリカ人のハーフです。ハーフなんて今ではめずらしく
 ないと思いますが、私が生まれ育ったのは徳島県の山の中。テレビのチャンネルも2局くらいしか
 受信できないようなところでした。
 私もひとつ下の妹も容姿のことや母親が外国人ということで、からかわれたり仲間はずれに
 されたり、嫌な思いをたくさんしました。
 中学時代は岡山市内で過ごしましたが、クラスメイトは違う容姿をもつ自分のことを受け入れ
 られずにいました。

 「未来の自分へ」の手紙を読みながら思ったことがもうひとつあります。
 「この手紙をもっと早く読んでいたら、きっともっと強く生きられたのに」

 ハワイの高校に進学したものの、そこにいたのは英語がまるでできない自分、文化のギャップに
 戸惑いを覚えてしまう自分でした。
 その後、ワシントンDCの大学に進学し、就職もしましたが、どこか自分の居場所を見つけられない
 ままでいました。
 そして歌手を目指してから日本でデビューできるまでの、10年もの長い長い歳月。
 数えきれないほど、傷つき、泣いて、絶望を味わった日々。

 もしそのときに「未来の自分へ」の手紙を読んでいたら。
 10代の自分をこんなに苦しめていた問題も、時間が経てば大したことじゃなくなることがわかって
 いたら。
 どんな悩みにぶち当たっても、
 「大丈夫。未来にはきっと大したことじゃなくなっている」
 と自分に言ってあげることができたはず。
 そして、もっと自分を信じてあげることができたはず。
 そう思ったのです。

 こんないきさつから、課題曲『手紙』は誕生しました。
 曲の中には、ふたりの自分が出てきます。
 ひとりは大人と子供の間をさまよいながら、たくさんの悩みを抱えている15歳の自分。
 もうひとりは大人になった自分。いろんなことがあったけれども、以前よりは自分を信じられるように
 なった今の自分です。
 中学生が歌いながら、「自分も大人になったら、きっとこういう気持ちになれるんだ」と思ってくれる
 ように。
 今は先が見えなくて、苦しくてつらいかもしれないけれど、でもきっと大丈夫だから!
 自分の力を、未来の自分を信じてほしい!
 そんな思いが、この曲に込められています。

 この曲を通じて、たくさんの出会いがありました。
 たくさんの中学生がこの曲に込めた私のメッセージを自分自身の力で大きく大きくふくらませ、
 未来への希望に変えていった姿は一生忘れることのできない、私の宝物になりました。





 なぜかこのアンジェラアキさんの『手紙』を聞いた時に衝撃を受けてしまいました。
 歌詞の素敵さと曲とのバランス、『手紙』を収録したアルバム『ANSWER』も即購入でした。
 するとその『ANSWER』の初回プレスには、DVDがついてました。アンジェラさんと中学生の
 合唱による『手紙』でした。このDVDあまりの迫力に圧倒されめちゃめちゃ感動してしまいました。
 でも、なぜ中学生とともに合唱しているのかは疑問が残っていたのです。
 そして先日、本屋でぶらぶらと新たな本との出会いを求めて歩いていたら、ふと目がつき軽く
 中身を読んでみると、それらの謎が解決しました。もともと『手紙』という曲は、NHKの合唱コンクールの
 ために作られた曲だったんですね。しかも、それらを特集して番組がNHKで放送されていたとは・・・
 とても、この本の元となった番組を見たくて、DVDを探していましたが、まだ発売されていないみたい
 ですね。是非ともこのブログを読んでいるNHK関係者の方がおりましたらよろしくお願いします。
 さて、本文からは冒頭のアンジェラアキさんのメッセージからご紹介いたしました。
 特に共感を受けるのは、悩みって時が解決してくれるってことですね。どうしようもなく悩み落ち込み
 切なく苦しく思っている人に、この言葉をうまく伝えていきたいですね。その時その時はもちろん悩んでも
 いいですが、その悩みは一生続くことではないと、強く思っておいてから悩んで欲しいですね。
 それともう一つアンジェラさんからの提言は、自分に手紙を書いてみましょうってことですね。
 これって、自分を見つめ直すことにもなり、客観的に自分を見つめることが出来るんですよね。
 この本の本文の中でも、中学生に手紙を書いてもらい、それを読んでもらっています。
 これが凄い効果をもたらしているんですよね~。 いやいやとても感動する本で、読みながら胸が熱くなり
 涙が溢れてきました。是非とも『ANSWER』を聞きながら、この本を読んでみて欲しいですね。
 とてもお勧めの一冊です!『ANSWER』は初回限定のDVD付きが最高です!








『そうだ、葉っぱを売ろう!』 ~横石知二~ [「ドキュメンタリー系」]

横石知二さんは現代の二宮尊徳だと思う。
重要なのは「町興し」「村興し」ではなく、その土地に生きる一人一人が目標と生きがいを持てるかどうかだと、見事に証明して見せた。 -村上龍-


そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

  • 作者: 横石 知二
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2007/08/23
  • メディア: ハードカバー



<著者のご紹介>

 横石知二(よこいし ともじ)
 1958年徳島市生まれ。
 79年徳島県農業大学園芸学科卒業後、上勝町農協に営農指導員として入社。
 86年つまもの商品「彩」を開発、販売、91年特産品開発室長。
 96年上勝町役場産業課に転籍し、99年第三セクター「株式会社いろどり」取締役。
 2005年同社代表取締役副社長。
 02年アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー日本特別賞受賞、03年日本ソフト化大賞受賞、
 07年地域活性化担当大臣から「地域中小企業サポーター」に、内閣官房および経済産業省から
 「地域産業おこしに燃える人」に、ニューズウィーク日本版「世界を変える社会企業家100人」に
 選ばれる。


<この本との出会い>

 テレビで上勝町の葉っぱビジネスの事を知り、興味津々でこの本を購入してみました。




<本文からご紹介>

 打ちひしがれた町

 上勝町に来た当初は、とにかく地理も人も、まったく分からなかった。そこでまずは、農家を一軒一軒あいさつに回ることから始めた。
 最初の1、2年は仕事というよりも、町の地理や住んでいる人の顔を名前、それぞれが何を栽培しているかなどを覚え、自分のことを知ってもらう勉強の期間えあった。
 上勝の人口流出がすごかったこのころは、10代の若者は進学や就職で、みんな当たり前のように町から出て行った。働き盛りの世代でも、経済的に有利な、体力的にも楽で便利な暮らしを求めて、町を離れる人が増えていた。
 出て行かない人たちには、取り残されたような感覚も生まれ、町全体に暗く沈んだ空気が漂っていたような印象がある。

 上勝に来てからまず一番に驚いたのは、山や田畑で働く60代から70代ぐらいの男衆の何人かが、朝っぱらから一升瓶を提げて農協や役場に集まり、酒を呑んで、くだを巻いていることだった。本当によく来ていた。一体どうしてそんなに朝からずっと座りこんで、酒を飲んでいるのか。
 雨が降っている日には特に多かった。そりゃもうがんがん呑んで、補助金がいくらだの、国が悪い、役場が悪いだのといった愚痴を、えんえんしゃべり続けていた。
 「どうしてみんな、自分の生まれた町のことを、こんなにも悪く言うんだろう」
 「なんでもっと、自分たちが住む町を、いいように考えんのだろう」
 不可解に思って理由を探ってみた。すると、当時は町の主な産業がミカン、林業、建設業などで、高齢者には出番が少ない。しかも雨が降るとどの仕事も作業にならない。それで、することがなくて、役場や農協に集まって酒を呑んでいたことが分かった。

 ~ 中略 ~ 

 女の人はもっと状況が悪く、自分で定期的に収入を稼げるような仕事はほとんど持っていなかった。
 いまと比べて30年近く前は、日本の社会全体としても、女性の地位がまだまだ低かった時代である。男女の賃金格差は当たり前。女性は学校を出て就職しても”腰掛け”と見られて、結婚が決まれば寿退職。そして、家で専業主婦をするのが普通だった。
 上勝の女の人たちも「てご」といって、人の田畑や山の作業を手伝って手間賃をもらうぐらいがせいぜいだった。
 仕事はない、カネはない、でもひまはある女性たちは、嫁や誰かの悪口をずっと、大げさでなく朝から晩まで話していた。
 ある日、私が農業指導で町内を回っていたときのこと。朝、ある家の前を通りかかると、縁側で嫁の悪口を言い合っている人たちがいた。それがお昼を過ぎてから同じところを通りかかると、まだ同じようにしゃべってる。
 「何をそんなに、しゃべっとんな」
 嫌で嫌で、たまらなかった。
 「なんで、そんなに人の悪口を言うんかなあ」
 ひまであることが、いかにいけないか。ひまが続くことが、人間にとってこんなにも悪く作用するのかということを、そのときにものすごく感じた。
 人は誰でも、朝起きたときに、「今日はあれをせないかん、これもせないかん」と、することがないといけない。忙しいということは、やっぱり大事なことなのだ。





 上勝町の葉っぱビジネスは、いろいろなテレビで紹介されているので、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか? 本文から紹介した通り、横石さんが赴任した当初は、こんな状態だったそうです。
 その後、台風によるミカン畑の大災害を経験し、ミカン中心の農業から短期で収穫可能な野菜の栽培も取り入れ、そしてその後のある出会いにより葉っぱビジネスを立ち上げたのです。もちろん、いきなり軌道に乗った訳ではなく、試行錯誤しながら現在のような状況になったのです。
 葉っぱビジネスは、こんなおばあちゃん達でも出来る体力のいらない仕事なので、毎日愚痴を言っていたおばあちゃん達の変わりようはすごいものです。最初は疑心暗鬼な人たちも、今ではパソコンまで使いこなし、活力あふれた生活を送っているのがこの本から伝わってきます。
 以前テレビでみた、保育園の新しい取組として、おばあちゃん達との交流を行っている保育園があるとの紹介がありました。高齢化社会の取り組みとして、素敵なことだな~と思っておりましたが、その時はボランティア扱いでした。上勝町のように、おばあちゃん達にでも出来る、やりがいがある仕事をしてもらえると、よりいっそう社会は活性化していくのではないかと思いますよね~。 ちなみに上勝町のおばあちゃん達は、葉っぱビジネスにより忙しく、そして健康になり、「今日は忙しいから病院には行けない」なんて言っているそうです。医療費の抑制にも一役かっているのですね~。こんな素敵な町や取り組みが日本全国のあちこちで起これば、きっと将来素敵な日本になることでしょう。ん~私も何か考えて見ますね。そして何かやりたいですね。

※いつも読んで頂いてありがとうございます。 
 もしお勧めの本がございましたら、カテゴリー★お勧め本一覧★にコメントして下さい。






『甲子園への遺言』 ~門田隆将~ [「ドキュメンタリー系」]

天才バッティングコーチ高畠導宏の生涯を描いた傑作。小久保裕紀、田口壮などの一流プロ野球選手を育てあげた彼は高校の教師となり、高校野球の監督として甲子園での全国制覇を目指す。ところが、突然発覚した病気のため・・・。NHKドラマ「フルスイング」として感動を呼んだ名著がついに待望の文庫化。


甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ 高畠導宏の生涯 (講談社文庫)

甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ 高畠導宏の生涯 (講談社文庫)

  • 作者: 門田 隆将
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/12/12
  • メディア: 文庫



NHK フルスイング DVD-BOX

NHK フルスイング DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD



<著者のご紹介>

 門田隆将(かどた りゅうしょう)
 1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。
 雑誌メディアを中心に、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなどの幅広い分野で活躍している。
 著書に「裁判官が日本を滅ぼす」、「甲子園への遺言」、「なぜ君は絶望と闘えたのか」、
 そして最新作に「神宮の奇跡」などがある。



なぜ君は絶望と闘えたのか

なぜ君は絶望と闘えたのか

  • 作者: 門田 隆将
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/07/16
  • メディア: 単行本



神宮の奇跡

神宮の奇跡

  • 作者: 門田 隆将
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/11/21
  • メディア: 単行本



<この本との出会い>

 NHKドラマフルスイングを見て興味がわきました。 ドラマも素敵ですよね。





<本文からのご紹介>

 はじめに

 平成16年夏、一人の高校教師がすい臓がんでなくなりました。
 還暦を迎えて半年足らず、まだ60歳でした。その高校教師には、特異な経歴がありました。なんと30年にわたって、プロ野球の打撃コーチを務めたのです。
 渡り歩いた球団は、南海、ロッテ、ヤクルト、ダイエー、中日、オリックス、そして千葉ロッテ。野球の質が、パワーから技術へ、諜報戦から総合戦へ、さまざまに形状を変えていく中、彼は常にその最前線にいました。
 そして7つの球団で独特の打撃理論と卓抜した洞察力を駆使して選手たちの指導をおこない、時に相談に乗り、汗と涙を共有しながら、気がつけば、のべ30人以上のタイトルホルダーを育て上げていきました。
 しかし、その伝説の打撃コーチは、50代半ばで一念発起し、高校教師になるために通信教育で勉強を始めます。5年かかって教員免許を取得し、社会科教師として教壇にあがり、「甲子園」を目指しました。
 その人の名は、高畠導宏さんといいます。
 高畠さんは、志半ばで病に倒れました。しかし、最期まで弱音を吐かず、癌と戦いました。
 彼が亡くなったあと、日記や講演録、野球日誌などが残されました。

 ~後略~ 
 




 NHKドラマ「フルスイング」見ましたか? とても素敵なドラマでした。 
 その主人公高畠さんに興味津々でこの本を読んでみました。 
 いやいやすごい人です高畠さんは~。現中日監督の落合選手、ダイエーの小久保選手、
 メジャーで活躍中のイチロー選手や田口選手、オリックス・阪神と渡り歩いたアリアス選手、
 千葉ロッテの福浦選手とサブロー選手と名だたる面々が高畠さんの教え子です。
 高畠さんは、その長い打撃コーチの経験から、技術力も大切だが、やはり最後に打てるのは、
 メンタル面がとても大切だと思い、大学で心理学まで勉強していたそうです。
 ただ単純な技術指導ではなく、選手と真剣に向き合い、まさしく汗と涙で共に成長していく
 その指導方法はコーチングやメンタルヘルスにもとても役にたつ内容でしたね~。
 ちょっと野球に関する記述も多く、野球に興味のないかたは読みづらいかもしれませんが、
 よくぞここまで調べたという内容盛り沢山です。 野球好きにはお勧めの一冊です。


『ワーキングプア 日本を蝕む病』 ~NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班 ~ [「ドキュメンタリー系」]

何気なく手に取ったこの1冊、軽い気持ちでは読み切れません。
混沌とした何かが残る1冊です。
 
※とても長文になってしまいましたが、是非とも最後までお付き合いください!


ワーキングプア―日本を蝕む病








この作品は2006年7月23日に放送された、
 NHKスペシャル『ワーキングプア ~働いても働いても豊かになれない~』
と2006年12月10日に放送された、
 NHKスペシャル『ワーキングプア ~努力すれば抜け出せますか~』
の放送内容に加筆した作品です。

本の帯に読者の感想として・・・
 
 凄惨な現実に言葉を失った 
      - 37歳、男性、会社経営
 この本を読むまで、ワーキングプアは自己責任だと思ってました 
    - 50代、女性、主婦
 人ごとではないなと思いました 
    - 36歳、男性、会社員
 政策の基本的な事からやり直さなければ、この国は大変なことになると思う 
    - 69歳、男性、会社員



 私が読んだ感想も、まさしく、これらの意見と同じ気持ちです。
 ごく一部の、何の努力もしない、そんな人々がワーキングプアになっている訳では
 ないのです。誰でも、ちょっとしたきっかけで、ワーキングプアになってしまう、
 そんな危険性を含んだ、社会にいつのまにか、この日本はなっていたのですね~。



 本文は、下記のような構成になってます。

 1.「貧困」の闇が広がる日本
   全給与所得者の5分の1は年収200万以下
    「誠実に働き続ける人たちの叫び」
     (前略)
     ユキさんは重い病を患った母親と二人で暮らしていた。
     父親を早くに亡くし、自分の給料で家計を支え続けている「しっかり者」の女性だった。
     公立高校をトップクラスの成績で卒業したユキさんは、大手電機メーカーの製造工場に
     就職。初任給は二十万円を超え、高知県では破格ともいえる好待遇の会社だった。
     安定企業に就職することができたユキさんは、母親と暮らすための一軒家をローンで
     購入。正社員として定年まで働く覚悟だった。
     ところが2004年、ユキさんは突然思いもよらない辞令を受け取る。働いている工場が
     中国へ移転するため、国内の別の工場へ移るように、という内容だった。

     当時から国内の製造メーカーは、人件費の安い中国に相次いで進出していた。
     社会は、一家の大黒柱である、中高年のリストラ問題には注目しても、若者に
     ふりかかった悲劇には目を向けてこなかった。実際、中高年の自殺は目に見える形で
     深刻な社会問題になっていた。しかし、目に見えないところで広がっていたのは、
     若者層の賃金カットや年収三百万以下の、派遣・請負といった低所得者層の
     問題だった。多くの若者たちが派遣や請負、アルバイトといった不安定な
     雇用形態のまま低い賃金で働き、昇給の見込みもないまま年齢を重ねて
     いたのです。



     (後略)
     この後、ユキさんのその後と、現在に至るまでのいきさつが紹介されます。


 2.ホームレス化する若者
  急速に不安定化する若者の雇用
  15歳~34歳の非正規雇用者の割合 27.2%(2006年)

  ホームレス一歩手前の若者
  2003年に厚生労働省が行ったホームレスの全国調査によれば、東京都の
  ホームレスの数は6361人。東京都は2004年から、公園なとでテント生活を
  していた人をアパートや宿泊施設に収容する事業を始めた。その結果、都内の
  ホームレスの数は2007年2月時点で、4690人まで減少したと東京都は発表している。
  しかし、河川敷や公園などで、テントを張って定住生活をしている人はともかく、
  毎日各地を渡り歩く路上生活者の数を正確に把握するのは不可能だ。
  ホームレスが減少したとする発表とは裏腹に、各地の炊き出しには長蛇の列が
  できていた。先述した池袋で炊き出しに並ぶ人は、前年の1.5倍にのぼるという。 
 



     (後略)
     ~つまりは、ネットカフェ難民など、各地を渡り歩く路上生活者の数は
     正確に把握できてはいないのである。


 3.崩壊寸前の地方
  広がる都市と地方の所得格差
  1人当たり県民所得(2004年)
  東京都   4,560,000円
  東北6県  2,410,000円

  商店街最後の仕立て屋
  「都会は景気よくなったって言うけど、こっちは不景気だ。みんな古いのを直して着るんだ」
  仕立ての注文票を見せてもらうと、袖詰め500円、寸上げ1000円 ―小さな数字が並んでいる。
  「もう3月も終わるのによ~。正月から1万円も稼いでねえべ。よく暮らしているようなもんだ。
  まったくな。」注文票は2~3枚めくると、すぐ白紙になった。どうやら「お直し」の注文も
  減ってきたらしい。衣替えを待てば、直しは増えると言う鈴木さんに去年の年収を
  尋ねると20万円。これは厳しい数字だ。




 4.夢を奪われた女性
  女性給与所得者の4割が年収200万以下
  睡眠時間を4時間に削って働く母親
  (前略)   反町かおりさん(仮名)31歳。九年前に離婚。以来、二人の子供を抱えながら、
  たった一人で親子三人の暮らしを支えてきた。反町さんは、二つの仕事を
  掛け持ちしている。「昼の」仕事は、建設会社の事務。月曜日から金曜日の
  朝九時から夕方五時まで働く、いわゆる「フルタイムのパート」だ。
  日給は六千円。これだけでは生活できないため、子供たちを寝かしつけた深夜、
  もうひとつの仕事である弁当工場へ働きに出かける。




 5.グローバル化の波にさらわれる中小企業
  急増する外国人「労働力」
  研修の在留資格による新規外国人入国者数 92,837人(2006年)

   岐阜に押し寄せる中国人
   (前略)
   朝、岐阜市内では自転車に乗って職場に向かう中国人の姿が、
   あちらこちらで見られる。アパートなどに数人で共同生活をし、縫製や
   プレスの工場に通っているのだ。町には中国人のコミュニティができ、
   中国の食材などを売る専門店もいくつか登場している。
   こうした人々は、研修生や技能実習生という立場で日本に来ている
   研修生や実習生というのは、主に製造現場で、技術や知識を習得するため
   やってきた外国人のことで、発展途上国に対する日本の国際貢献
   として、1990年代に制度が整備された。

   時給200円の労働者たち
   急増する研修生や実習生は、どのような働き方をしているのか。
   2年前から中国人を使い始めたという縫製業者の井上正雄さん(仮名)
   を訪ねた。自宅にある作業場では、三人の実習生と、二人の研修生が
   働いていた。
   (中略)
   給料は月5万円、働く時間が日に八時間を超えた場合の「残業代」は
   時給200円でよいと言う。



 6.死ぬまで働かざるをえない老人
  年金をもらえない高齢者 約444,000人
   無年金の老夫婦
   2004年の国の推計によると、65歳以上の高齢者のうち、
   年金をまったく受け取れない可能性がある人は、全国におよそ
   40万人もいるとみられている。こうした高齢者のうち、安定した
   収入がなく、生活保護も受けていない人がどのくらいいるのかは、
   国も把握できていない。年金をまったく受け取れないため、
   年老いてもなお、働き続けなければならない高齢者を取材した。




 7.荒廃を背負う子供
  増え続ける児童養護施設の子供たち
  児童養護施設在所者数 30,830人(2005年)

   わずかな福祉予算
   「今の日本の福祉予算のうち、こうした子供たちに使われる予算は
   わずか。高齢者福祉にかける予算に比べても少ないのが現状です。
   日本の将来を担うのは子どもたちなのに・・・」

   ここにも深刻な環境に置かれた子供たちが入っていた。
   酒に溺れる父親に暴力をふるわれた中学生の男の子は
   自分から児童相談所に電話をかけて救いを求めた。
   母親はすでに家を出た、父と子の荒んだ家庭から逃れるために、
   学校で配られた紙に書かれた電話番号に救いを求めたのだった。

       ある母子家庭では、家計を支えるために働く母親が、疲れきって
   子供の世話ができず、子供は空腹のあまりコンビニで弁当を
   盗んだところを保護された。

   「現代の貧困は、金銭の貧しさだけではない。生活文化そのものが
   貧しくなり、家庭生活に深刻な影響を与えている。教育や日常必要な
   ものにお金を使うべきことをわかっていながらも、パチンコや競馬などの
   ギャンブルに使ってしまう。そして消費者金融から安易に金を借りて
   生活が行き詰まり、そのいらだちが子供たちに向かう。
   貧困は子どもたちに深刻な影響を与えています。」



 8.現実に向き合うとき



 かなり内容が濃い作品です。かといっていったい何が出来るのでしょうか?という悩みで、
 悶々としてしまいます。

 リストラ問題も、若い世代へ「君らはまだ若いから大丈夫」みたいな感じで、
 中高年より気軽な気持ちで解雇通知されてきていたのでしょう。

 地方都市と東京との格差、かといって、東京に行っても正社員として働き場所はない。
 地方都市では、アルバイトとしての働き口すらない、あったとしても、とても生活できる
 収入ではない。地方都市に関しては公共工事の削減も問題との記述もあります。

 家が貧乏であれば、子供も夢を見ることができない現実。さらに言えば、子供を育てる事すら
 できない状況。本文中の子供たちの夢は、普通の生活をしたい なのですよ!

 確かに政府は、再チャレンジに関する政策を展開していて、手に職をつけろとは言うが、
 手に職をつけるためには、お金もかかるし、時間も必要になってしまう。
 (本文の中では、再チャレンジに関しては、あくまでも期待している旨の記述ですが・・・)

 グローバル化の波に直撃された、繊維産業。
 法を犯して、外国からの留学生を安い賃金で雇わなければ会社としてなりたたない。
 真面目に、法を守っている経営者は、会社としてなりたたない現実。

 年金の無受給者の問題。本文では、空き缶を拾って生活している、老夫婦が照会されて
 いますが、今後40万人が年金無受給者と言う現実にどう立ち向かっていくのでしょうか?

 やはり1個人としては、打つ手が無いように思います。
 政治が問題だ!とか大企業が儲けすぎだ!と大きなものに怒りをぶつけて何か
 解決されるのでしょうか?
 今、政治では無駄をなくすと言う論調ですが、その無駄なお金でも人の生活が
 かかっている気がします。公共工事もやるべきではないでしょうか?
 
 以前中国で聞いた話によると、中国の公営の工場は廃止になると、その従業員は
 すべて警備会社に移籍になるそうです。
 その後、中国では法律を変更し、今まで社員100人以上の会社では
 警備員を1名雇用しなければ、ならなかった法律を、
 2名に増員して雇用を生んでいるそうです。
 (警備会社に関しては、国営のみが許可されているそうです。)
 実情は、ただ新聞を読んでいるだけの、警備員ばかりですがね・・・

 人材派遣会社に関しては、従業員の教育を義務付けるとか、人材派遣会社内で、
 独自の資格制度を開発し、出来るだけ有利な条件での派遣できるように工夫するなど・・・
 実際タクシー会社は、2種免許取得の費用は負担してますよね~。そんな感じで、
 人材派遣会社内で資格を作り、肉体労働でも体力2級とか、事務作業3級とか、
 派遣を何人ひとまとめではなく、その人を見て派遣出来るようにする工夫くらいは、
 可能なのではないでしょうか?

 いずれにしても、他人へのお願いになっている気がします。
 自分自身何か出来ないのか、真剣に考えたいと思います。

 それでは、最後までお付き合いくださいありがとうございます。


 
 
  
 
   


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