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『心に響く小さな5つの物語』 ~藤尾秀昭~ [藤尾秀昭]


 20万人が涙した感動実話

 私もこの物語を読み 涙が止まりませんでした - 片岡鶴太郎


心に響く小さな5つの物語

心に響く小さな5つの物語

  • 作者: 藤尾 秀昭
  • 出版社/メーカー: 致知出版社
  • 発売日: 2010/01
  • メディア: 単行本



<著者のプロフィール>
 藤尾秀昭(ふじお ひであき)
 昭和53年の創刊以来、月刊誌『致知』の編集に携わる。
 54年に編集長に就任。平成4年に致知出版社代表取締役社長に就任。
 現在代表取締役兼編集長。
 主な著書に『現代の覚者たち』『小さな人生論1~4』
 『WEB版小さな人生論ノート』『小さな経営者論』がある。

 片岡鶴太郎(かたおか つるたろう)
 高校卒業後、片岡鶴八師匠に弟子入り。
 3年後に声帯模写の芸人として独立し、バラエティー番組を足がかりとして人気を博す。
 現在はドラマ、映画などさまざまな分野で活躍中。
 画家としても、平成7年に初の個展『とんぼのように』を開催して以来、
 毎年全国で個展を開催。


<この本との出会い>
 致知出版のHomePageで知りました。

 
<本の構成>
 第一話 夢を実現する
 第二話 喜怒哀楽の人間学
 第三話 人の心に光を灯す
 第四話 人生のテーマ
 第五話 縁を生かす
 あとがき

 ページ数 77ページ
 読書時間 1時間

 


<本文からのご紹介>

 第二話 喜怒哀楽の人間学
 少年は両親の愛情をいっぱいに受けて育てられた。
 殊に母親の溺愛は
 近所の物笑いの種になるほどだった。

 その母親が姿を消した。
 庭に造られた粗末な離れ。
 そこに籠ったのである。
 結核を病んだのだった。

 近寄るなと周りは注意したが、
 母恋しさに少年は
 離れに近寄らずにはいられなかった。
 しかし、母親は一変していた。

 少年を見ると、ありったけの罵声を浴びせた。
 コップ、お盆、手鏡と手当たり次第に投げつける。

 青ざめた顔。
 長く乱れた髪。
 荒れ狂う姿は鬼だった。

 少年は次第に母を憎悪するようになった。
 哀しみに彩られた憎悪だった。

 少年6歳の誕生日に母は逝った。

 「お母さんにお花を」

 と勧める家政婦のオバサンに、
 少年は全身で逆らい、
 決して柩の中を見ようとはしなかった。

 父は再婚した。
 少年は新しい母に愛されようとした。
 だが、だめだった。
 父と義母の間に子どもが生まれ。
 少年はのけ者になる。

 少年が九歳びなって程なく、父が亡くなった。
 やはり結核だった。

 その頃から少年の家出が始まる。
 公園やお寺が寝場所だった。
 公衆電話のボックスで
 体を二つ折りにして寝たこともある。
 そのたびに警察に保護された。

 何度目かの家での時、
 義母は父が残したものを処分し、家をたたんで蒸発した。
 それからの少年は施設を転々とするようになる。

 十三歳の時だった。
 少年は知多半島の少年院にいた。
 もういっぱしの「札付き」だった。

 ある日、少年に奇跡の面会者が現れた。
 泣いて少年に柩の中の母を見せようとした
 あの家政婦のオバサンだった。

 オバサンはなぜ母が鬼になったのかを話した。
 死の床で母はオバサンに言ったのだ。

 「私は間もなく死にます。
  あの子は母親を失うのです。
  幼い子が母と別れて悲しむのは、
  優しく愛された記憶があるからです。
  憎らしい母なら死んでも悲しまないでしょう。
  あの子が新しいお母さんに可愛がってもらうためには、
  死んだ母親なんか憎まれておいたほうがいいのです。
  そのほうがあの子は幸せになれるのです。」

 少年は話を聞いて呆然とした。
 自分はこんなに愛されていたのか。
 涙がとめどなくこぼれ落ちた。
 札付きが立ち直ったのはそれからである。

 作家・西村滋さんの少年期の話である。

 喜怒哀楽に満ちているのが人生である。
 喜怒哀楽に彩られたことが次々に起こるのが人生である。
 だが、その表面だけを掬い取り、
 手放しえ受け止めてはなるまい。
 喜怒哀楽の向こうにあるものに思いを馳せつつ、
 人生を歩みたいものである。
 その時、人生は一層の深みを増すだろう。
 われわれが人間学を学ぶ所以もそこにある。
   

 『心に響く小さな5つの物語』P18~P30




 この本は、月刊誌『致知』に掲載された中から抜粋された5つの心に響く作品を、
 片岡鶴太郎さんの挿絵を含めて構成されてます。鶴太郎さんの挿絵とその文字が
 また素晴らしいですね。わずか77ページですのであっと言う間に読むことが出来ます。
 でも、じっくりと何度も読み直したくなる本ですね。
 基本的には『小さな人生論』にも記述されている内容なのですが、それらの中から
 選りすぐり、1冊の本として集めることで、感動は増します。
 まずは、この『心に響く小さな5つの物語』を読んで、致知の世界に触れ、
 その後、『小さな人生論』を読んでみるのも良いのかもしれません。
 でも、本文から紹介した西村さんに、母親の真相を伝えた、家政婦のオバサンが
 もしいなかったとしたらいったいどうなっていたんでしょうね…
 絶妙のタイミングで伝えられ、立ち直るきっかけになるのも運命なのかもしれませんね。





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『小さな人生論4』 ~藤尾秀昭~ [藤尾秀昭]

 本書は珠玉の心学講義である。 -渡部昇一

 シリーズ16万部突破! 待望の第4作


小さな人生論〈4〉「致知」の言葉

小さな人生論〈4〉「致知」の言葉

  • 作者: 藤尾 秀昭
  • 出版社/メーカー: 致知出版社
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 単行本



<著者のご紹介>
 藤尾 秀昭(ふじお ひであき)
 昭和53年の創刊以来、月刊誌「致知」の編集に携わる。
 54年に編集長に就任。平成4年に致知出版社代表取締役社長に就任。
 現在代表取締役社長兼編集長。
 『致知』は「人間学」をテーマに一貫した編集方針を貫いてきた雑誌で、
 平成20年、創刊30年を迎えた。
 有名無名を問わず、「一隅を照らす人々」に照準をあてた編集は、オンリーワンの
 雑誌として注目を集めている。
 主な著書に『現在の覚者たち』『小さな人生論』『小さな人生論2』『小さな人生論3』
 『WEB版小さな人生論ノート』『小さな経営論』がある。

 以前の記事はカテゴリー藤尾秀昭を参照して下さい → 過去の記事へ


<この本との出会い>
 『小さな人生論』シリーズは毎回欠かさず購入してます。
 その最新刊ということで購入しました。


<本の構成>
 まえがき 渡部昇一

 第一章 いのちを輝かす
 第二章 心を導くもの
 第三章 自分を創る道
 第四章 生き方の指針
 第五章 人間このすばらしきもの
 第六章 人生をひらく

 あとがき
 初出一覧

 ページ数 155ページ
 読書時間 2時間





<本文からご紹介>

 執 念
 青年は地方の大学を出、京都の会社に入った。就職難の時代。青年の喜びは大きかった。
 だが、それが色褪せるのにさして時間はかからなかった。会社は赤字続きで給料遅配も
 珍しくない。これに対して労働組合は頻繁にストを繰り返している。
 青年はうんざりした。同期の友人と語らい、自衛隊に入ることにした。
 その手続きのために戸籍抄本を送ってくれるよう、実家に頼んだ。だが、戸籍抄本はこず、
 長兄の手紙だけが送られてきた。
 「働くところもないおまえを雇ってくれた会社になんの恩返しもせずに辞めるとは何事か」
 長兄の叱責はズシンとこたえた。よし、この場こそ最高の場と思おう―青年は生活を一変
 させる。会社に布団から炊事道具まで持ち込み、寝る間も惜しんで仕事に没頭した。
 その努力は認められ、会社は数人の部下をつけてくれた。こうして開発された製品に
 ある大手メーカーが注目、大量の注文が舞い込むようになった。

 そんな時期、賃上げ要求をして組合は全面ストに突入。工場にはピケが張られた。
 だが、青年は仲間と会社に泊まり込み、仕事を続けた。作った製品は裏門の塀から手渡し、
 納品した。そんな青年の行為は全組合員から批難、罵倒された。青年は言った。
 「私は会社の回し者でもみなさんの敵でもありません。いまわが社で唯一黒字を出している
 のはこの製品だけです。この生産を止めたら、それこそみなさんの給料も払えなくなるのでは
 ないですか」
 一歩も譲らない青年の姿勢。これには組合幹部も心を動かし、スト中も青年のチームだけは
 仕事の続行を黙認されることになった。
 京セラ創業者、稲盛和夫氏25歳の頃の話である。

 人が事を成す上で欠かせないものは、執念である。努力は誰でもする。
 その努力が執念と呼べるほどのものになって、事は成る。
 その執念を生み出すもとは、仕事に対する愛情である。偉大な愛情と執念といえるほどの努力。
 この二者が相まって初めて事は成る。歴史の真理である。

 「成功者と不成功者の差は紙一重」と稲盛氏は言う。
 その紙一重とは何か。
 「不成功者には粘りがないのです」

 松下幸之助氏も言う。
 「失敗はありますよ。しかし成功するまで続けたら、失敗はない。
  成功とは成功するまで続けることだ」

 以前話題を呼んだ「ビショナリーカンパニー」は、設立年が平均で1898年という、時の試練を
 乗り越えてきた真に卓越した企業を選び出したが、これら企業トップの共通点をこう記している。
 「幸運の女神は、どこまでも粘り抜く者にほほえむ。この明快な事実が成功した会社の創業者に
  とって重要な礎になっている。ビショナリーカンパニーの創業者はどこまでも粘り抜き、
 『絶対に、絶対に、絶対にあきらめない』を座右の銘としている」

 百歳で30年分の仕事の材料を買い込んだという彫刻家、平櫛田中さんの言葉を最後に。

 実践実践また実践
 挑戦挑戦また挑戦
 修練修練また修練
 やってやれないことはない
 やらずにできるわけがない
 今やらずしていつできる
 わしがやらねばだれがやる






 『小さな人生論』シリーズのその4です。毎回毎回心に響く素敵な内容で感動させて頂いてます。
 今回も前回や前々回に負けず劣らず素敵な内容になっております。
 本文からは、”執念”を取り上げてみました。
 京セラ創業者の稲森氏の本は何冊か読んでいますが、こんなきっかけがあったとは知りませんでした。
 もし長兄からの手紙がなかったら自衛隊になっていたかもしれないと思うと、人はほんの少しの
 きっかけで変わる可能性があるんだな~と考えますよね。
 しかも、その稲森氏の取り組み方は努力とかの一言で表現するよりも、まさに執念と表現されるべき
 内容だったのですよね。決してあきらめず、会社に泊まりこんでまで取り組み続け、最後は神にまで願い
 そして成し遂げた、そんな執念をもって取り組んだからこそセンシビリティが生まれたのですよね。
 沖縄の神さまが、なんくるないさーは軽い気持ちでどうにかなるさーではなく、真剣に取り組んで
 執念や信念を持って努力を続け、もう何もすることがなくなった時に使う言葉なんですよね~と
 読んだ事があります。まさに、執念なのですね~。
 そんな稲森氏だからこそ、今回JALの再建に白羽の矢がたったのでしょう。
 是非ともJALの社員の皆様は、稲森氏の本を読み、現代に残る最高の経営者と真剣に立ち向かって、
 再建に努力していって欲しいと切に願います。執念を生み出すもとは、仕事に対する愛情である。
 ここが大きなポイントなのでしょうね。





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『小さな人生論3』 ~藤尾秀昭~ [藤尾秀昭]

いま、いちばん読まれている「人生論」 大好評シリーズの第3作


小さな人生論〈3〉「致知」の言葉

小さな人生論〈3〉「致知」の言葉

  • 作者: 藤尾 秀昭
  • 出版社/メーカー: 致知出版社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 単行本






<本文からのご紹介>

 縁を生かす

 その先生が五年生の担任になった時、一人、服装が不潔でだらしなく、どうしても好きになれない少年がいた。中間記録に先生は少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。

 ある時、少年の一年生からの記録が目に留まった。「朗らかで、友達が好きで、人にも親切。勉強もよくでき、将来が楽しみ」とある。間違いだ。他の子の記録に違いない。先生はそう思った。

 二年生になると、「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」と書かれていた。三年生では「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする」。三年生の後半の記録には、「母親が死亡。希望も失い、悲しんでいる」とあり、四年生になると「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」。

 先生の胸に激しい痛みが走った。だめと決めつけていた子が突然、深い悲しみを生き抜いている生身の人間として自分の前に立ち現れてきたのだ。先生にとって目を開かれた瞬間であった。

 放課後、先生は少年に声をかけた。「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない? 分からないところは教えてあげるから」。少年は初めて笑顔を見せた。
 それから毎日、少年は教室の自分の机で予習復習を熱心に続けた。授業で少年が初めて手をあげた時、先生に大きな喜びがわき起こった。少年は自信を持ち始めていた。

 クリスマスの午後だった。少年が小さな包みを先生の胸に押しつけてきた。あとで開けてみると、香水の瓶だった。亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。先生はその一滴をつけ、夕暮れに少年の家を訪ねた。雑然とした部屋で独り本を読んでいた少年は、気がつくと飛んできて、先生の胸に顔を埋めて叫んだ。「ああ、お母さんの匂い!きょうはすてきなクリスマスだ」
  六年生では先生は少年の担任ではなくなった。
  卒業の時、先生に少年から一枚のカードが届いた。
 「先生は僕のお母さんのようです。そして、いままで出会った中で一番すばらしい先生でした」
 それから六年。またカードが届いた。
 「明日は高校の卒業式です。僕は五年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます」
 十年を経て、またカードがきた。そこには先生と出会えたことへの感謝と父親に叩かれた体験があるから患者の痛みが分かる医者になれると記され、こう締めくくられていた。
 「僕はよく五年生の時の先生を思い出します。あのままだめになってしまう僕を救ってくださった先生を、神様のように感じます。大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、五年生の時に担任してくださった先生です」

 そして一年、届いたカードには結婚式の招待状だった。
 「母の席に座ってください」と一行、書き添えられていた。

 『致知』連載にご登場の鈴木秀子先生に教わった話である。
 たった一年間の担任の先生との縁。その縁に少年は無限の光を見出し。それを拠り所として、それからの人生を生きた。ここにこの少年の素晴らしさがある。
 人は誰でも無数の縁の中に生きている。無数の縁に育まれ、人はその人生を開花させていく。大事なのは、与えられた縁をどういかすのかである。





  ちいさな人生論の3作目です。本文からは「縁を生かす」をご紹介いたしました。
  たいせつですよね”縁”って・・・。
  この先生が少年を担任した時、もし彼の生い立ちに気がつかなかったら、そして、気がついても、
  何の行動もとらなかったら何も変わっていないのです。その与えられた縁に気がつき、
  そして行動を伴ったからこんな素敵な縁となったのですよね~。
  日々いろいろな縁に出会っている私たちも、その縁を真剣に考え、そして行動して行ければ、
  小さなことかも知れませんが、素敵な世の中になっていくのではないでしょうか。
  この本にはまだまだ素敵なお話が盛りだくさんです、是非ともご購入をお勧めします。
   




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『小さな人生論2』 ~藤尾秀昭~ [藤尾秀昭]

いま、いちばん読まれている「人生論」 大好評シリーズ珠玉の第2作


小さな人生論〈2〉「致知」の言葉

小さな人生論〈2〉「致知」の言葉

  • 作者: 藤尾 秀昭
  • 出版社/メーカー: 致知出版社
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 単行本






<本文からご紹介>
 
 運命をひらく

 過日、古い友人に頼まれ、ある大学で学生に話す機会があった。
 教授に伴われて教室に入った途端、唖然とした。百人ほど入れる教室。前方はほとんど空席で、五十人ほどが後方に固まっている。それをジュースを飲んだり食べ物を頬張ったり。教授の姿を認めても様子に変化はない。挨拶するでもなし、私語がとめどもない。
 正直、これが大学生かと思った。そこには授業に向かう緊張感も講義に対する好奇心も、いささかも感じられない。どんよりした倦怠感が漂うばかりである。
 まず前方の席に詰めてもらった。きびきび移る学生は一人もいない。口にこそ出さないが、迷惑げな気配がありありである。若者たちがよく口にする「かったるい」とはこのことかと思った。
 その時点で、準備していったすべてを話すことは放棄した。話題を絞り、質問を発し、感想文を書いてもらい、拙いなりに関心を引くように努めて一時間半の責任を果たした。

 帰途、電車の中で彼らの感想文を読んだ。おや、と思った。当方の伝えたかったことをそれぞれが真剣に受け止めていた。教室をおおっていた倦怠感とこの感想文の落差は意外だった。
 思うに、彼らも立派な感受性を備えているのだと思う。ただ、心をコップに例えれば、心のコップがきちんと立っていないのだ。心のコップが倒れたり引っくり返ったりしていては、いくら水を注いでもこぼれるばかりである。彼らは心のコップが立たないまま、二十歳近くまで人生を歩んでしまったのではないか。焦点の定まらない生き方を心から惜しいと思った。
 運命とは定まっているものではない。自ら運び、ひらいていくものである。そのためには心のコップを立てなければならない。それをなすのが教育である。教育はコップを立てることから始まるといっても過言ではない。
 まず心のコップを立てる ―― 運命をひらく第一条件である。
 第二の条件は、決意すること。小さなことでいい。小さなよきことを決意する。そこから運命の歯車は回転していく。そして決意したら、それを持続すること。花は一瞬にして咲かない。木も瞬時には実を結ばない。自明の理である。 次に、「敬するもの」を持つこと。「敬するもの」とは人が心の中に持った太陽である。すべての生命は太陽に向かって成長する。心もまた敬するものを持つ時、それに向かって成長する。

 最後に、「縁」を大事にすること。縁を疎かにして大成した人は一人もいない。

 「不幸の三定義」というのがある。友人の西田文郎氏から聞いた。

 一、決して素直に「ありがとう」といわない人
 一、「ありがとう」といっても、恩返しをしない人
 一、「ありがとう」と唱えただけで恩返しはできたと思っている人

 縁のある人に、この逆のことを心がけていくところに、運命をひらく道がある。心したいことである。





 『人生論』もよかったですが、『人生論2』はこれまた素敵です。”感動・笑・夢”というタイトルで、椋鳩十さんの講演の内容がご紹介されているのですが、とても面白く椋さんの講演録を購入してしまいました。またこの次の機会にでもご紹介させて頂きます。今回ご紹介した”運命をひらく”の他にも、”読書力”や”人生のテーマ”などもとても素敵で心に沁みるお話です。小さな人生論を読み、初めて知った人物や書籍も沢山あります。この本をベースにいろいろな本や人物の出会いが広がるそんな素敵な本なのですよね~。
 さて今回ご紹介した”運命をひらく”ですが、第一の条件として「心のコップを立てる」とあります。この心のコップを立ててあげるのが難しいですね。ただ単純にお話をしただけでは、この心のコップを立てることは難しいと思うのですよね~。そこでキーとなるのは、椋さんの言う「感動は心の扉をひらく」なのではないでしょうか。何かふとしたきっかけで大きな感動に出会うと、心のコップが立ち、環境や疑念などでも横たわることのない、状態が生まれるのではないでしょうか。出来るだけいろいろな人へこの感動を経験させることが、第一の条件である、「心のコップを立てる」ことにつながるのではと思っております。具体的には本を読むことなのですが、本は読む人は何も言わなくても読むし、読まない人は何度言っても読まないですよね。しかも習慣付けさせるまでが大変です。そこで何かのきっかけになればと思い最近はDVDを集めています。NHKのプロフェッショナルの流儀やディスカバリーチャンネルのDVD、講演会のDVD、CSとES向上の為のDoIT!など・・・・DVDであれば入り易いのかな~と思っています。心のコップを立ててあげる、そんなきっかけになれば素敵ですよね。

 『人生論』の以前の記事はこちらです → 『人生論』へ

 



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『小さな人生論』 ~藤尾秀昭~ [藤尾秀昭]

NHKラジオ深夜便「こころの時代」出演で大反響!
いま、いちばん読まれている「人生論」


小さな人生論―「致知」の言葉

小さな人生論―「致知」の言葉

  • 作者: 藤尾 秀昭
  • 出版社/メーカー: 致知出版社
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: 単行本






<本文からご紹介>

 信念の力

 四十数年前も前のことである。京都で数百人の経営者を前に松下幸之助氏が講演をした。
 その趣旨は、人材も資金もダムのようにプールしておく経営、つまり余裕を持った経営をしなければ
 ならない、ということであった。松下氏の持論であるダム式経営論である。

 講演が終わって、聴衆の一人が質問した。ダム式経営をしたいのは山々だが、どうすればできるのか
 秘訣を教えてくれ、というのである。
 松下氏はじっと考えてから、「わかりませんな」と答えた。そして、こう続けた。
 「一つ確かなことは、まずダム式経営をしようと思うことです。」
 失笑が会場をおおった。「思うだけで出来たら世話はない」「馬鹿にするんじゃない」。そんな声も聞こえた。

 だが、その中でただ一人、頬を紅潮させて松下氏を見つめる青年がいた。京セラを創業して間もない
 二十代の稲盛和夫氏である。そうか、まず思うことなのか。稲盛氏は脊髄の奥に火がついたような
 感動で心を熱くした。その心の火が信念になって凝固した。
 信念とは信じ念じることである。稲盛氏はダム式経営を信じ念じ続けた。
 その信念は京セラの現在に結晶している。

 「致知」の取材を通して数多くの経営者に接してきたが、一業を成した人には、突出して二つの共通した
 要素があるのを感じないわけにはいかない。
 一つは、「価値を見出す力」である。自分の置かれた環境、そこに結ばれる縁、携わる仕事等々に、
 多くの人はさしたる感興も覚えず、それらはたまたまのもの、ありきたりのものとみなしがちである。
 だが、一業を成した人はそこに独特の強烈な価値を見出すのだ。
 もう一つは、価値を「信じる力」である。ふたたび稲盛氏に登場していただく。

 京セラ創業時、セラミック製造の作業は誇りまみれ泥まみれ、汚い、きつい、厳しいの典型的な
 3K職場であった。若い社員の顔にはうんざりした色が浮かぶ。
 深夜作業を終えると、そんな若い社員と膝を突き合わせてラーメンをすすりながら、稲盛氏は熱っぽく
 語り続けた。自分たちがやっているのは世界の誰もやっていない仕事なのだ、自分たちは世界の
 先頭を走っているのだ、と。仕事に見出した価値。それを強烈に信じていたのである。
 そして、それが京セラのベースをつくったことは言うまでもない。

 価値を見出す力。その価値を信じる力。これこそ信念の力である。信じ念じる力が道のないところに
 道をつくり、人を偉大な高みに押し上げていくのである。

 最後に松下幸之助氏の言葉を掲げる。
 「根無し草に花は咲かない 信念がなければ人生に花は咲かない」

 
 


 苦難は幸福の門

 「苦難は幸福の門」 ― というのは、倫理研究所を創設した丸山敏雄氏の言葉である。
 苦難は生活の不自然さ、心のゆがみの映った危険信号であり、ここに幸福に入る門がある。
 従って、苦難を忌み嫌うのではなく、喜んで取り組み、苦難の原因になっている生活のあやまり、
 心の不自然さを取り去ると、かつ然として幸福の天地がひらけてくる、と述べられている。

 「大悪起これば大善来る」 ― と仏法では言われている。
 小さなよいことは、日常の中でもしょつちゅう起こる。しかし、大善 ― 本当に大きなよいことは、
 こんな苦しみはもういやだと言いたくなるような、大悪が起こったあとにやって来る、というのである。

   耐えきれないような大きな苦しみや困難や障害がおそってきた時に、もう駄目だと投げ出すのではなく、
 ここを越えれば、必ず大善 ― 本当に大きなよきことがやってくる、これはその前兆だと信じて、
 その波を越えて行けと、仏法は説いているのだ。

 いま国も企業も大きな困難の渦中にある。 個人的に人生の煩悩とかかえている方もおられよう。
 しかし、苦難は私たち自身をさらに成長させ、新しい世界を開いてくれようとする天の意であることを、
 先知先見の言葉は教えてくれている。

 




 「小さな人生論」は、何度も本屋さんなどで見かけていましたが、ちょっと堅そうなイメージがあり、
 購入するのは二の足を踏んでおりました。 今回、ほんとに何となく購入してみて読んでみましたが、
 イメージ程難しくもなく、それでいて深い内容で、とても素敵な本だと思いますね~。
 この本は平成15年に発行されていますが、数年経った今でも、色あせることなく心に響きます。
 この他にも「小さな人生論2」「小さな人生論3」も購入済みです。これらも時間をおいてゆっくり読みたいと
 思います。 「致知」のHomePageでは無料メルマガの登録が可能で、これらもとても素敵な内容です。
 私も登録しておりますが、これが素敵なタイミングで、タイムリーな話題が送られて来ます。
 時折、自分を見つめなおすにも良いきっかけになりますので、登録してみてはいかがですか?

 「致知」のHomePageはこちら → 人間学を学ぶ月刊誌 月刊「致知」

 



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