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『小さいっが消えた日』 ~ステファノ・フォン・ロー~ [「しあわせ読書のすすめ」]


 こんな風に言葉を感じたことなかった

 大切にしようね、言葉も個性も。
   ――香坂みゆき


小さい“つ”が消えた日

小さい“つ”が消えた日

  • 作者: ステファノ・フォン・ロー
  • 出版社/メーカー: 三修社
  • 発売日: 2008/10/30
  • メディア: 単行本



<著者のプロフィール>
 ステファノ・フォン・ロー
 1967年、ドイツ・クローンベルク生まれ。
 1987年に来日し、上智大学比較文化学部比較文化学科を首席で卒業。
 その後、ケンブリッジ大学、ハーバード大学、東京大学で、
 経済学、哲学、社会学等を修める。
 日本語・ドイツ語・英語・フランス語・イタリア語が堪能。
 現在は、フランクリンの日系証券会社に勤務。
 趣味は、映画製作と鑑賞、スキューバーダイビング、チェス、囲碁、
 料理、旅行など。
 ドイツ・ケーニヒシュタイン在住。
 好きな日本語は「~でしょう?」


<その他の著書>
 なし


<著者のHomePage等>
 なし


<この本との出会い>
 先日ご紹介した「しあわせ読書のすすめ」で紹介されていたので購入しました。


<本の構成>

 小さいころの三つの思い出
 五十音村の住人たち
 ある夏の夜の出来事
 小さい”っ”、家出をする
 小さい”っ”の大冒険
 思いがけない提案
 小さい”っ”へのメッセージ
 小さい”っ”はどうやって見つかったのか
 三つの習慣

 ページ数 113ページ
 読書時間 1時間


<以前紹介した著書>
 なし


<関連動画>
 なし


<関連記事>
 なし





<本文からのご紹介>

 小さいころの三つの思い出


 小さいころ、私には三つの趣味がありました。
 まず一つは、お母さんと自転車に乗っているとき、
 前歯を子ども用シートの前にある取っ手にあてて、
 振動を感じることでした。
 それを何分か続けていると、頭がくらくらして、
 自転車から降りるころには、目の前にたくさんの
 星がきらきら見えてきます。その星を今度は手で
 捕まえようとしました。
 二つ目は、質問されたことについて三つの組み合わせで
 答えることでした。
 たとえば、「好きな食べ物は何?」と聞かれたら、
 「モモとしゃぶしゃぶとアイスクリーム」と答えたり、
 「今日は何をしたの?」と聞かれれば、「え~とね、
 幼稚園で遊んで、お昼ご飯を食べて、それから自転車に
 乗ったんだ」と答えるのです。三つ答えないと、なぜだか
 気がすまなかったのです。
 そして三つ目は、何もすることがないときにはいつも、
 私が住んでいたアパートの1階にある印刷所のおじいさんに
 会いに行くことでした。よく、そこで、おじいさんが働いて
 いるところを眺めたり、おじいさんがしてくれる物語を
 聞いて過ごしたものです。

 そのころは、まだコンピューターなどない時代でしたから、
 印刷の仕事は、鉛でできている文字を大きな箱から一つ一つ
 取り出して、文章を組み合わせることからはじまりました。
 印刷が終わって、文字を箱に戻すときには、仕事を手伝わせて
 もらったものです。
 おじいさんは、「これは”は”という文字だから、この箱に
 入れておくれ」とか、「これは”ぬ”だから”な”行に戻さ
 ないとね」とか言って、文字の読み方や片づけ方を教えてくれ
 ました。私が文字を手に持って、「これはなんて読むの?」と
 聞けば、「それは”え”と発音するんだ。戻す場所はここだよ」
 とやさしく教えてくれました。
 私が学校に入る前に字を読めたのも、そのおじいさんのおかげ
 でした。もちろん最初はひらがなとカタカナだけでした。

 ある日私が、いつもと同じように、文字の片づけを手伝って
 いるときのことでした。前々から発音されない文字があることを
 不思議に思っていた私は、音のない小さい”っ”を手にして、
 おじいさんにこうたずねました。「もし小さい”っ”に音がない
 のなら、なくてもいいんじゃないの?捨ててしまえば?」
 「いやいや」と仕事の手を休めないでおじいさんは答えました。
 「そんなことはないんだよ。音がなくても小さい”っ”はとても
 大切なんだ。そうだ、、いい話をしてあげよう。これを聞いたら、
 おまえさんも、小さい”っ”がいかに大切かわかるようになるだろう」
 そして、次のようなお話をしてくれたのです。

 


 『小さい つ が消えた日』P9~12より




 
 読書のすすめの清水店長の著書『しあわせ読書のすすめ』で紹介されていたので
 購入してみました。その本での対象者は”夢もなく生きてきたけど、このままで
 いいの?”と感じる人へのおすすめとなっておりました。
 解説文には、”このままでいいんだよ、夢なんかなくたって、人にはちゃんと
 役割がある”と書かれております。
 この本は、音の無い小さい”っ”が、自分は必要ないんだと思い、五十音村から
 家出をし、その為、人々の会話から小さい”っ”が消えてしまい、始めて小さい
 ”っ”の重要性を感じて、五十音村の住人は誰が一番とかでなく、みんなそれぞれの
 役割を持っているということに気がつくというストーリーになっております。
 最近良く考えるのですが…可能性って無限大ですよね~。でも、どうも自分自身で
 壁をつくり、その壁の中でもがいている人が多いな~と感じます。
 人それぞれの役割は、決してただ待っているだけでは変わらないし見つかりません。
 今与えられた仕事の中でも、何か出来ることを少しずつでも、チャレンジしないと、
 本当の自分の存在意義や役割は見つからないのではないでしょうか?
 是非とも、文句や不満を言う暇があったら、言葉の前にまず、何でもいいので
 行動してみませんか?
 そう言う私も、少しずつ行動して行きたいと、思い返しました…。  
  
 <こんな人へおススメ>
 ちょっと自身を無くした悩んでいる人へ。
 小学校高学年や子どもへの読み聞かせにも素敵な一冊だと思います。


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