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『パパラギ』 ~岡崎照男・訳~ [「フリー」]

はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集
物がなければ暮らせないのは、心が貧しいからだ。


パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集

パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集

  • 作者: 岡崎 照男
  • 出版社/メーカー: 立風書房
  • 発売日: 1981/01
  • メディア: 単行本



<著者のプロフィール>

 訳者紹介
 岡崎照男(おかざき てるお)
 昭和26年7月生まれ。新潟県出身。青山学院大学理工学部卒業後、イギリス留学を経て
 スイス・ベルン大学哲学科入学。同大学卒業後、オランダ・ロッテルダム大学にて文化論の研究。
 帰国後、故郷新潟で英・仏・独・露語などを教える会話学校の経営のかたわら、各種市民運動に参加。


<この本との出会い>

 矢玉四朗さんの本から、この本を知りました!
 矢玉さんの記事はこちらです → 以前の記事へ
 素敵な本のご紹介ありがとうございます!





<本文のご紹介>

 と、その前に、本の帯の紹介をします。

 村上龍氏 

  『パパラギ』は、単に、「現代人が失っている何かについて考えさせられる」だけの本ではない。

 朝日新聞の天声人語 

  ツイアビが実在の人物であったかどうかは解らないが、その言葉は知恵と啓示に満ちた文明批評である。

 丸い金属と重たい紙について

 かしこい兄弟たちよ、信仰の心をもって耳を傾け、おまえたちが白人の持つような悪意を持たず、白人が怖れることを怖れずにいるのは幸せだと思わねばならない。 ――おまえたちも、あの宣教師の言葉をはっきりと覚えているだろう。「神は愛である。ひとりの真の救世主(キリスト)が常に愛そのものであるという善をなしたもうた。だからこそ白人の崇拝は、大いなる神にのみ向けられる」と。
 宣教師は私たちに嘘をつき、私たちをあざむいた。パパラギが宣教師を買収し、大いなる心の言葉を借りて私たちをだましたのだ。丸い金属と重たい紙、彼らがお金と呼んでいる、これが白人たちの本当の神様だ。
 愛の神について、ヨーロッパ人に話してみるがよい――顔をしかめて苦笑いをするだけだ。考え方が子供じみていると言って笑うのだ。ところが、ピカピカ光る丸い形の金属か、大きい重たい紙を渡して見るがよい。――とたんに目は輝き、唇からはたっぷりよだれが垂れる。お金が彼の愛であり、金こそが彼の神さまである。 ~後略~


 あとがきから
 熟せば ヤシは葉も実も落とす
 パパラギの生き方は
 未熟なヤシが 葉も実もしっかり
 かかえているようなもの
 「それはおれのだ!
 持って行っちゃいけない
 食べちゃいけない!」
 それじゃどうして 新しい実がなる?
 ヤシの木のほうが
 パパラギよりも ずっとかしこい




 さて、この本は酋長ツイアビの説明をしないといけませんよね。ツイアビはウポル島(西サモア)ティアベアに住む酋長で、若かりし頃ヨーロッパに憧れ宣教師学校に通い、そしてヨーロッパに布教活動で赴きます。そこで見た事経験したことを、この本では紹介しております。また、パパラギとは現在ではパランギと呼ばれ、現在でも南太平洋に散在する島々の全般に渡って、ヨーロピアン(白人)と同意語で使われているそうです。ちなみに、日本人はシャパニと呼ばれ、シャパニはパランギと違いブラザーだと、言われているそうです。そこは少し切ないところではあるのですが・・・

 この本の中では以下のようにいろいろな文明を皮肉っております。

  「パパラギのからだを覆う腰布とむしろについて」・・・衣服について
  「石の箱、石の割れ目、石の島、そしてその中に何があるかについて」 ・・・ 住居について
  「丸い金属と重たい紙について」 ・・・ お金について
  「たくさんの物がパパラギを貧しくしている」 ・・・ 物欲について
  「パパラギには暇がない」 ・・・ 時間について
  「パパラギが神さまを貧しくした」 ・・・ 所有するということについて
  「大いなる心は機械よりも強い」 ・・・ 機械について
  「パパラギの職業について ―― そしてそのため彼らがいかに混乱しているか」 ・・・ 職業について
  「まやかしの暮らしのある場所について、束になった紙について」 ・・・ 映画館と本について
  「考えるという重い病気」 ・・・ 精神や哲学について
  「パパラギは私たちを彼らと同じ闇の中に引きずり込もうとしている」 ・・・ まとめ

 何となく、目次からの引用でイメージが沸くのではと思います。実は皮肉と書いていますが、ツイアビは真面目に語っております。内容も深く考えさせる箇所もありますし、思わず笑ってします箇所もあります。私はこの本を読んだ後、何とも言えない爽快感を感じてしまいました・・・。が、ふと最初に書かれていた、パパラギはヨーロピアンで、シャパニは日本人のことになり、シャパニはブラザーだという箇所を思い出してしまい、現在はシャパニもパパラギだな~と思い少し切ない気持になってしまいました。この本は1920年が初版で、何と88年前の作品です。しかし、指摘されていることは、現在でも何ら改善されていないんですね~。コーチングで行き詰っている人やメンタル的に落ちかけの人にはお勧めの一冊です!



 
 
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