『東京の副知事になってみたら』 ~猪瀬直樹~ [猪瀬直樹]
「猪瀬さん、僕より短気だねえ」
「作戦勝ちと言ってください」
――いっしょにゲラゲラと笑い合った
「水道」「空港」「医療」「すまい」「エコ」
石原慎太郎とのアライアンスから
新しい「東京モデル」が生まれた
<著者のプロフィール>
猪瀬直樹(いのせ なおき)
作家。
1946年、長野県生まれ。
83年、『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『日本凡人伝』
87年、『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞。
96年、『日本国の研究』で文藝春秋読書賞。
定評の評伝小説には『ペルソナ 三島由紀夫伝』『マガジン青春譜 川端康成と大宅壮一』
『ピカレスク 太宰治』『こころの王国 菊池寛と文藝春秋の誕生』がある。
小泉政権下では、道路公団民営化委員を務める。
07年6月、東京都副知事に任命される。
近著に『ジミーの誕生日 アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』など。
<その他の著書>
『空気と戦争』
『二宮金次郎はなぜ薪を背負っているのか?』
『道路の決着』
『道路の権力』
『霞が関「解体」戦争』
『続・日本国の研究』
『日本の信義―知の巨星十人と語る』
『土地の神話 』
<著者のHomePage等>
猪瀬直樹オフィシャルサイト
<この本との出会い>
猪瀬さんをTwitterでフォローしてたところ、この本が発刊されるのを知り購入しました。
<本の構成>
プロローグ
第1章 「水ビジネス」で世界
第2章 石原慎太郎と「言語技術」
第3章 「都心の緑を守る」
第4章 新しい都市生活モデルとは
第5章 ジャパン・バッシングの危機
第6章 エコで描く成長戦略
第7章 高速道路「民生の迷走」
終章 成熟国家ニッポンの未来
あとがき
ページ数 190ページ
読書時間 2時間
<以前紹介した著書>
なし
<関連動画>
『猪瀬直樹就任3年 自著「副知事になってみたら」で振り返る』
<関連記事>
なし
<本文からのご紹介>
都庁に埋もれていた宝
第一本庁舎の脇にもう一本、34階建ての第二本庁舎が並んでいる。9000人は
4500人ずつ配分され、2つのビルは3階のところで渡り廊下で結ばれているが、当初は
第2本庁舎へ足を運ぶ機会は比較的少なかった。
渡り廊下が長くて、別会社へ行くような感じがあった。周りの職員も、あちら、と言った
りする。実際、仕事のタイプがちょっと違うのである。
第一本庁舎は知事本局、総務局、財務局、主税局、産業労働局、福祉保健局、
生活文化スポーツ局などいわゆる役所である。知事の部屋も副知事の部屋もこちらである。
第二本庁舎はもう少し現場の臭いがする。教育庁、港湾局、建設局、都市整備局、
環境局、交通局、水道局、下水道局などがあるからだ。あちらには行く機会が少ないはず
だった。だが、だんだんそうではなくなった。
「官」すなわち役所には眠っている宝がいっぱいある。例えば東京の水道技術は世界一だ。
あたりまえのように思っているが、蛇口から出る水を直接飲める国は、世界でたった11カ国
しかない。日本以外では、オーストラリア(シドニー)、アメリカ(ハワイ、サンフランシスコ、
デトロイト、アトランタ)、スイス(全国)、フィンランド(ヘルシンキ)、
スウェーデン(ストックホルム)、デンマーク(コペンハーゲン)、カナダ(バンクーバー)、
オーストリア(ウィーン)、フランス(全国)、ニュージーランド(全国)である。
先進国でもロンドンなど大都市でさえ漏水率は20パーセントぐらいあたりまえである。
だが東京水道では漏水率はわずか3パーセントにすぎない。漏水率が20パーセントでなく
3パーセントということは、ローマの人口250万人の水道をまるまる供給できる量を節約して
いることになる。
長い時間をかけて東京の地下を走る水道管の基幹管路はダクタイル鋳鉄管に取り換えられて
きた。ダクタイル鋳鉄管は球状炭素を用いて鋳鉄管を強化、耐久性を高めたもので鉄管より
頑丈で長持ちする。末端の給水管にはステンレス管が使用されている。
1300万都民への水を、1日平均430万立方メートル、漏水率わずか3パーセントで供給し、
料金徴収率99.9パーセント、この管理システムは充分に国際市場でビジネスとして展開できる。
『東京の副知事になってみたら』P12~14
かなり久々の更新になってしまいました…
いろいろ私的に忙しく、更新する時間が取れませんでしたが、これからまた再開したいと
思いますので、今後ともよろしくお願いします。
移動時間も多かったので本はかなりの量を読んでますので、これから少しづつ更新したいと
思います。
さて、今回は猪瀬直樹さんの『東京の副知事になってみたら』を取り上げてみました。
この本は、Twitterで知って購入して本なのですが、これまたとても素晴らしい内容です。
本の概略はyoutubeのニュースを見て頂ければ解るのですが、素朴な疑問でいろいろな矛盾を
コツコツと解決していってるんです。東京水道局を国際市場に売り込む「水ビジネス」の
展開。議員宿舎建設による緑の伐採との戦い。周産期医療への適正な補助金の交付。
独居老人への対策。破綻した夕張市へ都職員の派遣。東京都地下鉄の一元化。
日本語力を高めるための教育制度改革。などなど・・・。
現在就任3年目でこれらの実績を上げております。これらの実績の源には、
猪瀬さんの湧いて出るなぜ?に対する、徹底的な追及と好奇心が上げられるのでは
ないでしょうか。単純にわいて出る疑問を誰かに調べさせたり、軽く表面だけを調べるの
では、その改善策を見つけることはできません、やはり徹底的に自分自身でありとあらゆる
角度から調べることによって、問題の解決策というのは見えてくるのではないでしょうか。
最近、仕事をしていてもそう感じております。
さらに、ただ調べるだけでなく、そこに好奇心が加われば、より素敵な答えを導き出す
ことが出来るんですよね~。そうなるとまさしく徹底的な改善につながることでしょう。
わずか190ページ程の本なのですが、とても好奇心をくすぐる面白い内容になっております。
東京都民に皆様は是非とも必読の一冊です。
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2010-07-24 17:31
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