『成功は一日で捨て去れ』 ~柳井正~ [柳井正]
その「安定志向」が会社を滅ぼす―
現状を否定し、社内改革への挑戦を続けるユニクロ。
経営トップが明かす悪戦苦闘の記録。
<著者のご紹介>
柳井 正(やない ただし)
1949(昭和24)年2月、山口県宇部市生まれ。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
ジャスコを経て、72年、父親の経営する小郡商事に入社。
84年、カジュアルウェアの小売店「ユニクロ」の第1号店を広島市に出店し、
同年社長に就任する。
91年に社名をファーストリテイリングに変更。
94年広島証券取引所に上場し、97年東証第2部に上場。
99年2月に一旦は代表取締役会長になるも、05年9月、再び社長に復帰する。
現在、代表取締役会長兼社長。
<この本との出会い>
新刊JPのPodcusting第1016号でご紹介されておりました。 → 新刊JPの記事へ
<本の構成>
はじめに
第1章 安定志向という病
第2章 「第二創業」の悪戦苦闘
第3章 「成功」は捨て去れ
第4章 世界を相手に戦うために
第5章 次世代の経営者へ
おわりに
巻末資料
FASTRETAILING WAY(FRグループ企業理念)
FR WAYの解説
ファーストリテイリング主要年表
ページ数 233ページ(巻末資料含む)
読書時間 6時間
<本文からご紹介>
障がい者雇用への取り組み
どんな会社にも社会的責任はあるし、社会に対して貢献するのが当然なので、
我が社としては何か社会に対してお返しできるものはないかいろいろ考えた。
最初に実行したのは、店舗での障がい者雇用である。
その法定雇用率は1.8%であるが、ユニクロでの雇用率は2008年6月1日時点で8.06%と、
それを大幅に上回り、全国の大企業(従業員5000名以上)でトップクラスの水準となっている。
約8割の店舗で雇用が進んでいる。
もともと我が社でも、以前は障がい者雇用率は非常に低く、法定雇用率に満たない部分は一種の
罰金を支払っていた。
あるとき大阪のユニクロで障がい者を雇ったら、店舗内部の従業員のコミュニケーションが非常に
うまく回りだした。彼らが一生懸命に仕事をしている姿を見て、ほかの販売員がその人に
協力しなければいけないとか、その人に対して気遣いをし始めた。従業員全員が若いので、
一緒に働く人への気遣いなどを初めて肌で知ったというわけだ。その結果、その店舗は他の店舗よりも
むしろ人員効率が良くなったのだ。
障がい者を雇用するとこういう良い面があって、効率もむしろアップすることもあるということがわかり、
2001年から「1店舗1名以上」の雇用をしようと取り組んだ。その結果が現在の雇用率の高さに
表れている。2007年6月には内閣府より、「再チャレンジ支援功労者表彰」を受賞した。
その実態は、障がい者と健常者が一緒に仕事をするということなのだが、実は、両者の間には差など
ないのではと思っている。心身ともに健康という健常者といえども、何かしらの弱いところ、
劣っているところはあるはずだ。
逆に障がい者とはいっても、何かしらの配慮をすることで仕事は問題なくこなせる。皆でチームとして
仕事をすることによって一体感が高まり、高効率の店舗が生まれるのだ。
「1店舗1名以上」の雇用に取り組んだのには、もうひとつ大きな理由がある。雇用した人の
ご両親が非常に喜んでくれるのだ。自分の子供が、ユニクロの店舗で仕事をしている。
しかも、これまで見せたことのないような活き活きした顔で仕事をしている。そんな姿を見たら、
親御さんたちはどんなにうれしいことだろう。
こんな光景を目にしたとき、ぼくはこれが本当の社会貢献なのではないかと感じ入った。
世間一般では、障がい者の人たちだけを集めて、物を作ったり、請負業務をこなしたりして自立を
目指すケースもある。それもひとつの方法だろう。しかし、圧倒的に機会が少ないという事情は
あるにしても、やはり健常者と同じ職場で自分の能力を発揮することが自立への近道では
ないかと思う。我が社では、彼らが店舗のバックヤードで働くとか、売り場で働くとか、商品整理を
するとかも一律に決めているわけではない。その人のできる仕事をやってもらうことにしている。
健常者はこうした共に働く状況が普通だと思わないといけない。一方で、彼らのハンデな部分に
関しては考慮するが、そのほかのことに関しては同じ扱いをする。
両者ともにまったく遠慮することはないのだ。
『成功は1日で捨て去れ』 P98~P100から引用
ユニクロのイメージとしては、本文にも書かれているのですが、なんとなく外資系企業という感じが
しておりました。ところが読み終えてみると全然違いました。柳井社長はめちゃめちゃ骨太な
経営者ですね。尊敬する人物として、松下幸之助さんとマネージメント理論のピーター・F・ドラッカーさんを
あげているところからも、骨太さが解りますよね。
この本はユニクロの歴史とその当時の成功と失敗を2004年から2009年まで時代別に書いており、
各章の終わりにはその年の新年の抱負が書かれております。この新年の抱負も読みどころ満載で
素敵内容です。
本文からは障がい者雇用への取り組みをご紹介しました。以前何かの記事でユニクロの障がい者雇用の
話を読んだことがありましたが、こんな背景があり真剣に取り組んでいたのですね~。
日本で一番大切にしたい会社で取り上げられた日本理化学工業さんも、障がい者雇用に積極的に
取り組んでいる企業でしたが、方向性は違いますがユニクロも本気で障がい者雇用に取り組んでいる
ことが、とても深く理解出来ました。障がい者本人の働くことへの喜び、さらにその家族がその
働いている姿を見て喜ぶ、まさに社会貢献ですね。
こんな社会貢献をそれぞれの企業が真剣に取り組み、その考えが社会で循環していくことが出来れば
素敵なことですよね。
また、本文の中で第5章の次世代の経営者へは今後会社経営を考えている人には是非とも読んで
おいて欲しい内容です。若いうちにこのような骨太な経営者の考え方に触れることも大切ですよね~。
柳井さんがとても気に入っているヒートテックのCMです。
現状を否定し、社内改革への挑戦を続けるユニクロ。
経営トップが明かす悪戦苦闘の記録。
<著者のご紹介>
柳井 正(やない ただし)
1949(昭和24)年2月、山口県宇部市生まれ。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
ジャスコを経て、72年、父親の経営する小郡商事に入社。
84年、カジュアルウェアの小売店「ユニクロ」の第1号店を広島市に出店し、
同年社長に就任する。
91年に社名をファーストリテイリングに変更。
94年広島証券取引所に上場し、97年東証第2部に上場。
99年2月に一旦は代表取締役会長になるも、05年9月、再び社長に復帰する。
現在、代表取締役会長兼社長。
<この本との出会い>
新刊JPのPodcusting第1016号でご紹介されておりました。 → 新刊JPの記事へ
<本の構成>
はじめに
第1章 安定志向という病
第2章 「第二創業」の悪戦苦闘
第3章 「成功」は捨て去れ
第4章 世界を相手に戦うために
第5章 次世代の経営者へ
おわりに
巻末資料
FASTRETAILING WAY(FRグループ企業理念)
FR WAYの解説
ファーストリテイリング主要年表
ページ数 233ページ(巻末資料含む)
読書時間 6時間
<本文からご紹介>
障がい者雇用への取り組み
どんな会社にも社会的責任はあるし、社会に対して貢献するのが当然なので、
我が社としては何か社会に対してお返しできるものはないかいろいろ考えた。
最初に実行したのは、店舗での障がい者雇用である。
その法定雇用率は1.8%であるが、ユニクロでの雇用率は2008年6月1日時点で8.06%と、
それを大幅に上回り、全国の大企業(従業員5000名以上)でトップクラスの水準となっている。
約8割の店舗で雇用が進んでいる。
もともと我が社でも、以前は障がい者雇用率は非常に低く、法定雇用率に満たない部分は一種の
罰金を支払っていた。
あるとき大阪のユニクロで障がい者を雇ったら、店舗内部の従業員のコミュニケーションが非常に
うまく回りだした。彼らが一生懸命に仕事をしている姿を見て、ほかの販売員がその人に
協力しなければいけないとか、その人に対して気遣いをし始めた。従業員全員が若いので、
一緒に働く人への気遣いなどを初めて肌で知ったというわけだ。その結果、その店舗は他の店舗よりも
むしろ人員効率が良くなったのだ。
障がい者を雇用するとこういう良い面があって、効率もむしろアップすることもあるということがわかり、
2001年から「1店舗1名以上」の雇用をしようと取り組んだ。その結果が現在の雇用率の高さに
表れている。2007年6月には内閣府より、「再チャレンジ支援功労者表彰」を受賞した。
その実態は、障がい者と健常者が一緒に仕事をするということなのだが、実は、両者の間には差など
ないのではと思っている。心身ともに健康という健常者といえども、何かしらの弱いところ、
劣っているところはあるはずだ。
逆に障がい者とはいっても、何かしらの配慮をすることで仕事は問題なくこなせる。皆でチームとして
仕事をすることによって一体感が高まり、高効率の店舗が生まれるのだ。
「1店舗1名以上」の雇用に取り組んだのには、もうひとつ大きな理由がある。雇用した人の
ご両親が非常に喜んでくれるのだ。自分の子供が、ユニクロの店舗で仕事をしている。
しかも、これまで見せたことのないような活き活きした顔で仕事をしている。そんな姿を見たら、
親御さんたちはどんなにうれしいことだろう。
こんな光景を目にしたとき、ぼくはこれが本当の社会貢献なのではないかと感じ入った。
世間一般では、障がい者の人たちだけを集めて、物を作ったり、請負業務をこなしたりして自立を
目指すケースもある。それもひとつの方法だろう。しかし、圧倒的に機会が少ないという事情は
あるにしても、やはり健常者と同じ職場で自分の能力を発揮することが自立への近道では
ないかと思う。我が社では、彼らが店舗のバックヤードで働くとか、売り場で働くとか、商品整理を
するとかも一律に決めているわけではない。その人のできる仕事をやってもらうことにしている。
健常者はこうした共に働く状況が普通だと思わないといけない。一方で、彼らのハンデな部分に
関しては考慮するが、そのほかのことに関しては同じ扱いをする。
両者ともにまったく遠慮することはないのだ。
『成功は1日で捨て去れ』 P98~P100から引用
ユニクロのイメージとしては、本文にも書かれているのですが、なんとなく外資系企業という感じが
しておりました。ところが読み終えてみると全然違いました。柳井社長はめちゃめちゃ骨太な
経営者ですね。尊敬する人物として、松下幸之助さんとマネージメント理論のピーター・F・ドラッカーさんを
あげているところからも、骨太さが解りますよね。
この本はユニクロの歴史とその当時の成功と失敗を2004年から2009年まで時代別に書いており、
各章の終わりにはその年の新年の抱負が書かれております。この新年の抱負も読みどころ満載で
素敵内容です。
本文からは障がい者雇用への取り組みをご紹介しました。以前何かの記事でユニクロの障がい者雇用の
話を読んだことがありましたが、こんな背景があり真剣に取り組んでいたのですね~。
日本で一番大切にしたい会社で取り上げられた日本理化学工業さんも、障がい者雇用に積極的に
取り組んでいる企業でしたが、方向性は違いますがユニクロも本気で障がい者雇用に取り組んでいる
ことが、とても深く理解出来ました。障がい者本人の働くことへの喜び、さらにその家族がその
働いている姿を見て喜ぶ、まさに社会貢献ですね。
こんな社会貢献をそれぞれの企業が真剣に取り組み、その考えが社会で循環していくことが出来れば
素敵なことですよね。
また、本文の中で第5章の次世代の経営者へは今後会社経営を考えている人には是非とも読んで
おいて欲しい内容です。若いうちにこのような骨太な経営者の考え方に触れることも大切ですよね~。
柳井さんがとても気に入っているヒートテックのCMです。
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