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『子どもの力は学び合ってこそ育つ』 -金森学級の38年の教え ~金森俊朗~ [金森俊朗]

本物の教育者が編み出した生きて輝く学力取得法を全公開します。
子どもも大人も元気になった!金森流学び合い教育法。


子どもの力は学び合ってこそ育つ―金森学級38年の教え (角川oneテーマ21 A 73)

子どもの力は学び合ってこそ育つ―金森学級38年の教え (角川oneテーマ21 A 73)

  • 作者: 金森 俊朗
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 新書



素敵な本に出合いました。素敵な大人に、素敵な教育者に・・・ ご紹介いただいた桔梗さんありがとうございます。
それでは、その素敵な本をご紹介する前に、著者のプロフィールから始めます。

 金森俊朗(かなもり としろう)
 1946年石川県能登生まれ。金沢大学教育学部卒業。小学校の教師となり、2007年まで8校で、教鞭をとる。
 80年代から本格的に性と死の授業に取り組み、日本でデス・エデュケーションを実践する。
情操教育の最高峰として、全国から注目を集め、97年、中日教育賞を受賞する。2003年に放送された、
金森学級の一年間を記録した番組、NHKスペシャル「涙と笑いのハッピークラス」は、大きな感動を呼び、
アジアで初めて、バンフ国際テレビ祭グランプリ、日本賞グランプリを受賞した。
現在、北陸学院大学教授。


 もっと詳しく知りたいかたはこちらへ → 金森俊朗の部屋へ


性の授業 死の授業―輝く命との出会いが子どもを変えた

性の授業 死の授業―輝く命との出会いが子どもを変えた

  • 作者: 金森 俊朗
  • 出版社/メーカー: 教育史料出版会
  • 発売日: 1996/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



いのちの教科書―学校と家庭で育てたい生きる基礎力

いのちの教科書―学校と家庭で育てたい生きる基礎力

  • 作者: 金森 俊朗
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/11
  • メディア: 単行本



いのちの教科書―生きる希望を育てる (角川文庫 か 48-1)

いのちの教科書―生きる希望を育てる (角川文庫 か 48-1)

  • 作者: 金森 俊朗
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 文庫



 それでは、本文から少しご紹介します。




 子どもの心の中に「本当」がある。


 こどもたちを一見、何の悩みもないように捉える大人たちが多いが、この捉えは非常に大きな間違いを
 生むことになる。例えば、小学校4年生の健君は、こんな詩を書いてきた。

   願いはたくさんある。
   一番の願いは
   おとうさんがどっかわからない
   遠い所にいってしまった
   お父さんかえってきて
   お母さんはきにしてない
   でもぼくは今日もかんがえている
   お父さんなにしてるかな
   いつもいつもかんがえている
   お父さんかえってきて
   お父さんがいるとき
   ぼくはいつも楽しかった
   お父さんお母さんと仲直りしてかえってきて
   ぼくはお父さんがいないといやなんだ
   家族はそろったほうが
   いつも楽しい
   お父さんお願いします
   かえってきて

 後にこの詩を読んだ健君の母親は、大変なショックを受けていた。離婚したのは健君が保育園のときで、
 それ以後、できるだけのことはしてきたから、まさかこの子が数年経った今もこんなことを思っているとは
 つゆ気づかなかったと、ボロボロ涙を流した。
 朝、教室で黙って座っている子どもたちの胸のうちにも、こうした思いがある。先に述べたように、学級や
 習い事のさまざまな場面でも、こどもたちは、心のドラマや葛藤を持っている、子どもたちの作文を読むと、
 彼らが学校や家庭で抱く不安は、大人が想像する以上に大きいことがわかってくる。
 小学生だった私の息子と一緒に白山登山をしたときのことだ。私が所属する教育サークルのメンバーで
 古くからの友人である女性が、「山登りへ行くなら、連れて行って」ち言うので、彼女を交えて山登りをした。
 しかし、つい最近になって、息子が「あのとき、実は心配でたまらなかった。お父さんは、この人と結婚する
 んじゃないかと思って。」と言った。私は「お前は、白山を登っている間に、そんなことを心配していたのか?」
 と驚いたものだ。もちろん、私は何気なく一緒に山登りをしていたのであって、当時、息子を見ている限りでは
 そんな心配をしている様子はみじんもなく、彼女と一緒になってワーワーと騒いでいた。

 子どもは幼いほど、大人が何気なくしていることを、より想像的に、より深刻化して捉えているという傾向は
 否めない。大事なのは、客観的な状況ではなく、それを子どもがどういうふうに思っているか、という点である。
 大人から見ればたいしたことがない状況であっても、子どもがそれを深刻に受け止めていれば、それはまぎれ
 もない内面世界の事実である。大事なのは、誰かに伝えたい、聞いてほしいと願っている子どもの心を仲間や
 大人たちが見逃さず、しっかり受け止めることである。

 健君の手紙ノート


 健君が「お父さん、帰ってきて」と詩に書いたのは、5月末のことだった。
 そのとき、私が「健、やっぱりお父さんに会いたいか。自分の気持ちを無理に押し込めないで
 こうやって出すと、少しはすっきりするかな」と問うと、健君は、にっこり笑って「うん」と答えてきた。
 しかし、このときの詩は、私に読まれることは前提にしていたが、意識的に仲間宛に書いたものでは
 なかったから、強いて発表することを求めなかった。その健君が、学級での学びが進んだ11月7日、
 次のような「手紙ノート」を書いて学級の仲間に自分の心を伝えた。

   ぼくにはお父さんがほいく園に行っていたときからいません。お父さんとお母さんがわかれたからです。
   それをぼくはほいく園の時だったから、そんなお父さんがいなくなるとはまったく知らなかったから、
   次の日、お父さんはいつもいるので、お父さんのへやにいってもいなくて、ぼくは家中をさがしました。
   だけど、お父さんはどこにもいませんでした。
   お母さんに聞くと「お父さんはもういないよ」と言われて、ぼくは「うそだ」と言っても「ほんとうなんだ」と
   言われて、「なぜ」と思ったけど、言ってもどうせ相手にされないとわかっていたので言いませんでした。
   その日はなぜぼくはお父さんをとめなかったのかと自分をせめつづけながらずっと泣き続けました、
   いまでもそう思っています。
   でも、今はもうお父さんはほかの人とけっこんして子どももうまれたそうです。だから、今はお父さんが
   いなくてもぜんぜん平気です。今はお父さんのつくえを見て思い出すくらいです。
   お母さんは今はお父さんの事をはなすと、おこったようにもうお父さんは他人だといっているようです。
   そのせいだと思うけど、お父さんと歩いている人を見ると、いいなあとつい思ってしまいます。ぼくは
   家にいなくてもお父さんの事は大好きです。

 この文章は、5月末に書いた詩とは違ったものになっている。5月の時は、「お父さん、帰ってきて」という
 願いを書いていたが、11月の手紙ノートでは、「なぜぼくはお父さんをとめなかったのか」「自分を責めながら
 ずっと泣き続けました」という思いを全面に出している。そこに、健君の仲間にこそわかってほしいという
 気持ちが込められている。



 どうでしょうか?たしかにそう感じますよね~。子どもって本当にいろいろなことを考えているし、それぞれ、
 悩みも持ってます。私たちも子どもの頃にいろいろ悩んでいたはずなのに、その事を忘れて、子どもの悩みなんて
 どうせ大したことがないと、どこかで思っていたのかも知れません・・・。また、著書の中で、“共同の子育てを”と
 いう箇所に、「子どもを親だけで全て育てようとあまり狭く考えないほうがいい。かつては、子育ての砦といわ
 れるものが何重にもあった。兄弟、祖父母、友達、父母、近所、親戚の大人、親戚の子ども同士といった具合に、
 それぞれの立場の人たちと接し、そこから学ぶことや見守ってもらうことがたくさんあった」とあります。
 たしかに、そんな親戚付き合いや社会のつながりって、とても大切だと思います。それぞれの人が、それぞれの
 立場で、子どもたちを見守ってあげるように心掛けると、素敵な社会になっていくのではないでしょうか? 

 子育てもそうですが、会社とか組織作りにもとても参考になる本でした。やはりコーチングやメンタルヘルスも
 つきつめていくと、素敵な子どもの育て方にたどり着くのですね・・・。

 それでは!


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タグ: 教育
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桔梗

ご紹介ありがとうございます。

私の娘も2年間、金森先生にお世話になりました。
先生のすごさは、ご自分が話してらっしゃる時でも、こちらが話し出すとすぐに聞き手になって下さるところです。
一人一人の心にしっかりと寄り添って、どんな玉もしっかり受け止めて下さる先生です。
先生のおかげで、娘は精神的にすごく大人になりました。
関わる大人の器の大きさの違いで、子どもの成長はこれだけ違うのか、ということを目の当たりにしました。
出会えてよかったと、心から思っています。
by 桔梗 (2008-09-08 09:47) 

RONRON

桔梗さん、いつもNice&コメントありがとうございます。

金森先生素敵な方ですよね~。
”聞き手になる”や”どんな玉を受け止める”は、
きっとこの本の中になる、”キャッチャー”になるということですよね。

金森先生がキャッチャーで、娘さんも真剣にぶつかったからこそ、
素敵に成長されたのですよね~。

私も素敵なキャッチャーを目指して、日々勉強して行きたいと思います。


by RONRON (2008-09-09 12:50) 

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