『日本でいちばん大切にしたい会社』 ~坂本光司~ [坂本光司]
世の中には素敵な会社があるんです。CS向上とかコンプライアンスとかいいますが、
なによりも、大切なことがあるのでないでしょうか!
著者のご紹介です。
坂本光司(さかもと こうじ)
福井県立大学教授・静岡文化芸術大学教授を経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科
(地域づくり大学院)教授、および、法制大学大学院イノベーション・マネージメント研究科(MBA)兼担教授。
他に、国、県、市町、商工会議所等団体の審議会や委員会の委員を多数兼務している。
専門は中小企業経営論・地域経済論・産業論。
編著書に「中国義鳥ビジネス事情」「私の心に届いたサービス」「消費の県民性を探る」「選ばれる大企業、
捨てられる大企業」「地域産業発達史」「この会社はなぜ快進撃が続くのか」他多数ある。
本の帯には・・・
・なぜこの会社には、4000人もの学生が、入社を希望するのか?
・なぜこの会社は、48年間も増収増益を続けられたのか?
・なぜこの会社の話を聞いて、人は涙を流すのか?
6000社のフィールドワークで見出した「日本一」価値のある企業
この帯の「なぜこの会社の話を聞いて、人は涙を流すのか」この部分に引かれて購入しました…
それでは、本文から内容をご紹介いたします。
大切にしたい会社 1
障害者の方々がほめられ、役立ち、必要とされる場をつくりたい。
「日本理化学工業株式会社」
社員の7割が障害者の会社
従業員約50名のうち、およそ7割が知的障害をもった方々で占められている神奈川県川崎市の
その会社は、多摩川が近くに流れる、静かな環境のなかにあります。
この会社こそ、日本でいちばん大切にしたい会社の一つです。昭和12年に設立された「日本理化学工業」は、
主にダストレスチョーク(粉の飛ばないチョーク)を製造しており、50年ほど前から障害者の雇用を行っています。
そもそもの始まりは、近くにある養護学校の先生の訪問でした。昭和34年のある日、一人の女性が、
当時東京都大田区にあった日本理化学工業を訪ねてきたそうです。
「私は養護学校の教諭をやっている者です。むずかしいことはわかっておりますが、今度卒業予定の子ども
を、ぜひあなたの会社で採用していただけないでしょうか。大きな会社で障害者雇用の枠を設けているとこ
ろもあると聞いていますが、ぜひこちらにお願いいたいのです。」
障害をもつ二人の少女を、採用してほしいとの依頼でした。
社長である大山泰弘さん(当時は専務)は悩みに悩んだといいます。
その子たちを雇うのであれば、その一生を幸せにしてあげないといけない、しかし果たして今この会社に
それだけのことができるかどうか・・・。そう考えると自信がなかったのです。
結局「お気持ちはわかりますが、うちでは無理です。申し訳ございませんが・・・」
しかし、その先生はあきらめず、またやってきます。また断ります。またやってきます。それでも断ります。
3回目の訪問のとき、大山さんを悩ませ、苦しませていることに、その先生も耐えられなくなったのでしょう、
ついに諦めたそうです。しかしその時、「せめてお願いを一つだけ」ということで、こんな申し出をしたそうです。
「大山さん、もう採用してくれとはお願いしません。でも就職が無理なら、せめてあの子たちに働く体験
だけでもさせてくれませんか?そうでないとこの子たちは、働く喜び、働く幸せを知らないまま施設で
死ぬまで暮らすことになってしまいます。私たち健常者よりは、平均的にはるかに寿命が短いんです。」
頭を地面にこすりつけるようにお願いしている先生の姿に、大山さんは心を打たれました。「一週間だけ」と
いうことで、障害をもつ二人の少女に就業体験をさせてあげることになったのです。
「私たちが面倒をみますから」
就業体験の話が決まると、喜んだのは子どもたちだけではありません。先生方はもちろん、ご父兄たち
までたいそう喜んだそうです。
会社は午前8時から午後5時まで、しかし、その子たちは雨の降る日も風の強い日も、毎日朝の7時に玄関に
来ていたそうです。
お父さん、お母さん、さらには心配して先生まで一緒に送ってきたといいます。親御さんたちは夕方3時くらいに
なると「倒れてないか」「何か迷惑をかけていないか」と、遠くから見守っていたそうです。
そうして、一週間が過ぎ、就業体験が終わろうとしている前日のことです。
「お話があります。」と十数人の社員全員が大山さんを取り囲みました。
「あの子たち、明日で就業体験が終わってしまいます。どうか、大山さん、来年の4月1日から、あの子たちを
正規の社員として採用してあげてください。あの二人の少女を、これっきりにするのではなくて、正社員として
採用してください。もし、あの子たちにできないことがあるなら、私たちみんなでカバーします。だから、どうか
採用してあげてください。」
これが私たちみんなのお願い、つまり、総意だといいます。
社員のみんなの心を動かすほど、その子たちは朝から終業時間まで、何しろ一生懸命働いていたのです。
仕事は簡単なラベル貼りでしたが、10時の休み時間、お昼休み、3時の休み時間にも、仕事に没頭して、
手を休めようとしません。毎日背中を叩いて、「もう、お昼休みだよ」「もう今日は終わりだよ」と言われるまで
一心不乱だったそうです。ほんとうに幸せそうな顔をして、一生懸命仕事をしていたそうです。
「誰でも何かの役に立ちたい」
社員みんなのこころに答えて、大山さんは少女たちを正社員として採用することにしました。
一人だけ採用というのはかわいそうだし、何よりも職場で一人ぼっちになってしまいやすいのでないか、
二人ならお互いに助け合えるだろうということで、とりあえず二人に働いてもらうことになりました。
それ以来、障害者を少しずつ採用するようになっていきました。大山さんには、一つだけわからないことが
ありました。どう考えても、会社で毎日働くよりも施設でゆっくりのんびり暮らしたほうが幸せなのではないかと
思えたのです。
なかなか言うことを聞いてくれず、ミスをしたときなどに「施設に帰すよ」と言うと、泣きながらいやがる障害者の
気持ちが、はじめはわからなかったのです。
そんなとき、ある法事の席で一緒になった禅寺のお坊さんにその疑問を尋ねてみたそうです。するとお坊さんは
「そんなことは当たり前でしょう。幸福とは…
①人に愛されること ②人に褒められること ③人の役に立つこと ④人に必要とされること です。
そのうちの②人に褒められること、③人の役に立つこと、そして、④人に必要とされることは、施設では
得られないでしょう。この三つの幸福は、働くことによって得られるのです。」
と教えてくれたそうです。
「その四つの幸せのなかの三つは、働くことを通じて実現できる幸せなんです。だから、どんな障害者の方でも
働きたいという気持ちがあるんですよ。施設のなかでのんびり楽しく、自宅でのんびり楽しく、テレビだけ見る
のが幸せではないいんです。真の幸せは働くことなんです。」
~ 後略 ~
素敵な会社だと思いませんか?著者の坂本さんは、こんな素敵な会社を応援しましょうと書いてます。
我々が出来る応援とは、「バイ(買)・日本理化学工業運動」です。チョークのご用命は、日本理化学工業へ
お願いします。チョークの他にも商品はありますので、みなさんでこんな会社を応援しませんか?
実は本文に出てきた、二人の少女ですが、50年後も嘱託として、日本理化学工業で働いていて、著書は、
社長室でそのもと少女にお茶をだしてもらったそうです。
この本には、この他に
「社員の幸せのための経営」「戦わない経営」を貫き48年間増収増益伊那食品工業株式会社
「人を支える」会社には、日本中から社員が集まり、世界中からお客さまが訪ねてくる中村ブレイス株式会社
地域に生き、人と人、心と心を結ぶ経営を貫いていく株式会社柳月
「あなたのお客さんでほんとうによかった」と言われる、光り輝く果物店杉山フルーツ
素敵会社が沢山です。こんな素敵な会社を知り、伝え、応援して行きたいですね。
それでは また
なによりも、大切なことがあるのでないでしょうか!
著者のご紹介です。
坂本光司(さかもと こうじ)
福井県立大学教授・静岡文化芸術大学教授を経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科
(地域づくり大学院)教授、および、法制大学大学院イノベーション・マネージメント研究科(MBA)兼担教授。
他に、国、県、市町、商工会議所等団体の審議会や委員会の委員を多数兼務している。
専門は中小企業経営論・地域経済論・産業論。
編著書に「中国義鳥ビジネス事情」「私の心に届いたサービス」「消費の県民性を探る」「選ばれる大企業、
捨てられる大企業」「地域産業発達史」「この会社はなぜ快進撃が続くのか」他多数ある。
本の帯には・・・
・なぜこの会社には、4000人もの学生が、入社を希望するのか?
・なぜこの会社は、48年間も増収増益を続けられたのか?
・なぜこの会社の話を聞いて、人は涙を流すのか?
6000社のフィールドワークで見出した「日本一」価値のある企業
この帯の「なぜこの会社の話を聞いて、人は涙を流すのか」この部分に引かれて購入しました…
それでは、本文から内容をご紹介いたします。
大切にしたい会社 1
障害者の方々がほめられ、役立ち、必要とされる場をつくりたい。
「日本理化学工業株式会社」
社員の7割が障害者の会社
従業員約50名のうち、およそ7割が知的障害をもった方々で占められている神奈川県川崎市の
その会社は、多摩川が近くに流れる、静かな環境のなかにあります。
この会社こそ、日本でいちばん大切にしたい会社の一つです。昭和12年に設立された「日本理化学工業」は、
主にダストレスチョーク(粉の飛ばないチョーク)を製造しており、50年ほど前から障害者の雇用を行っています。
そもそもの始まりは、近くにある養護学校の先生の訪問でした。昭和34年のある日、一人の女性が、
当時東京都大田区にあった日本理化学工業を訪ねてきたそうです。
「私は養護学校の教諭をやっている者です。むずかしいことはわかっておりますが、今度卒業予定の子ども
を、ぜひあなたの会社で採用していただけないでしょうか。大きな会社で障害者雇用の枠を設けているとこ
ろもあると聞いていますが、ぜひこちらにお願いいたいのです。」
障害をもつ二人の少女を、採用してほしいとの依頼でした。
社長である大山泰弘さん(当時は専務)は悩みに悩んだといいます。
その子たちを雇うのであれば、その一生を幸せにしてあげないといけない、しかし果たして今この会社に
それだけのことができるかどうか・・・。そう考えると自信がなかったのです。
結局「お気持ちはわかりますが、うちでは無理です。申し訳ございませんが・・・」
しかし、その先生はあきらめず、またやってきます。また断ります。またやってきます。それでも断ります。
3回目の訪問のとき、大山さんを悩ませ、苦しませていることに、その先生も耐えられなくなったのでしょう、
ついに諦めたそうです。しかしその時、「せめてお願いを一つだけ」ということで、こんな申し出をしたそうです。
「大山さん、もう採用してくれとはお願いしません。でも就職が無理なら、せめてあの子たちに働く体験
だけでもさせてくれませんか?そうでないとこの子たちは、働く喜び、働く幸せを知らないまま施設で
死ぬまで暮らすことになってしまいます。私たち健常者よりは、平均的にはるかに寿命が短いんです。」
頭を地面にこすりつけるようにお願いしている先生の姿に、大山さんは心を打たれました。「一週間だけ」と
いうことで、障害をもつ二人の少女に就業体験をさせてあげることになったのです。
「私たちが面倒をみますから」
就業体験の話が決まると、喜んだのは子どもたちだけではありません。先生方はもちろん、ご父兄たち
までたいそう喜んだそうです。
会社は午前8時から午後5時まで、しかし、その子たちは雨の降る日も風の強い日も、毎日朝の7時に玄関に
来ていたそうです。
お父さん、お母さん、さらには心配して先生まで一緒に送ってきたといいます。親御さんたちは夕方3時くらいに
なると「倒れてないか」「何か迷惑をかけていないか」と、遠くから見守っていたそうです。
そうして、一週間が過ぎ、就業体験が終わろうとしている前日のことです。
「お話があります。」と十数人の社員全員が大山さんを取り囲みました。
「あの子たち、明日で就業体験が終わってしまいます。どうか、大山さん、来年の4月1日から、あの子たちを
正規の社員として採用してあげてください。あの二人の少女を、これっきりにするのではなくて、正社員として
採用してください。もし、あの子たちにできないことがあるなら、私たちみんなでカバーします。だから、どうか
採用してあげてください。」
これが私たちみんなのお願い、つまり、総意だといいます。
社員のみんなの心を動かすほど、その子たちは朝から終業時間まで、何しろ一生懸命働いていたのです。
仕事は簡単なラベル貼りでしたが、10時の休み時間、お昼休み、3時の休み時間にも、仕事に没頭して、
手を休めようとしません。毎日背中を叩いて、「もう、お昼休みだよ」「もう今日は終わりだよ」と言われるまで
一心不乱だったそうです。ほんとうに幸せそうな顔をして、一生懸命仕事をしていたそうです。
「誰でも何かの役に立ちたい」
社員みんなのこころに答えて、大山さんは少女たちを正社員として採用することにしました。
一人だけ採用というのはかわいそうだし、何よりも職場で一人ぼっちになってしまいやすいのでないか、
二人ならお互いに助け合えるだろうということで、とりあえず二人に働いてもらうことになりました。
それ以来、障害者を少しずつ採用するようになっていきました。大山さんには、一つだけわからないことが
ありました。どう考えても、会社で毎日働くよりも施設でゆっくりのんびり暮らしたほうが幸せなのではないかと
思えたのです。
なかなか言うことを聞いてくれず、ミスをしたときなどに「施設に帰すよ」と言うと、泣きながらいやがる障害者の
気持ちが、はじめはわからなかったのです。
そんなとき、ある法事の席で一緒になった禅寺のお坊さんにその疑問を尋ねてみたそうです。するとお坊さんは
「そんなことは当たり前でしょう。幸福とは…
①人に愛されること ②人に褒められること ③人の役に立つこと ④人に必要とされること です。
そのうちの②人に褒められること、③人の役に立つこと、そして、④人に必要とされることは、施設では
得られないでしょう。この三つの幸福は、働くことによって得られるのです。」
と教えてくれたそうです。
「その四つの幸せのなかの三つは、働くことを通じて実現できる幸せなんです。だから、どんな障害者の方でも
働きたいという気持ちがあるんですよ。施設のなかでのんびり楽しく、自宅でのんびり楽しく、テレビだけ見る
のが幸せではないいんです。真の幸せは働くことなんです。」
~ 後略 ~
素敵な会社だと思いませんか?著者の坂本さんは、こんな素敵な会社を応援しましょうと書いてます。
我々が出来る応援とは、「バイ(買)・日本理化学工業運動」です。チョークのご用命は、日本理化学工業へ
お願いします。チョークの他にも商品はありますので、みなさんでこんな会社を応援しませんか?
実は本文に出てきた、二人の少女ですが、50年後も嘱託として、日本理化学工業で働いていて、著書は、
社長室でそのもと少女にお茶をだしてもらったそうです。
この本には、この他に
「社員の幸せのための経営」「戦わない経営」を貫き48年間増収増益伊那食品工業株式会社
「人を支える」会社には、日本中から社員が集まり、世界中からお客さまが訪ねてくる中村ブレイス株式会社
地域に生き、人と人、心と心を結ぶ経営を貫いていく株式会社柳月
「あなたのお客さんでほんとうによかった」と言われる、光り輝く果物店杉山フルーツ
素敵会社が沢山です。こんな素敵な会社を知り、伝え、応援して行きたいですね。
それでは また
こんにちは。
あさ出版さんのブログからこちらのブログに辿り着きました。
私たち(SVCという会社です)も『日本でいちばん大切にしたい会社』を読み、とても感銘を受けた読者のひとりです。
それだけには留まらず、このたび著者の坂本先生をお招きしてセミナーを開催させていただくことになりました。
つきましては同じ本の読者の方にもぜひご参加いただけたらと思い、勝手ながらこうしてご案内をさせていただいております。
◇セミナーのご案内サイト
http://www.keieijinji.com/seminar/20090619/20090619.htm
こちらの一方的なご案内ばかりで申し訳ありませんが、少しでも興味を持っていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
追伸:
ブログの他のページも拝見しました。
私も植松努さんの講演に2回参加して、とても影響を受けています。
他にも好きな本がいくつも取り上げられていて嬉しくなりました。
これからも素敵な本をたくさん紹介してください!
by SVC 清水 (2009-05-14 11:04)
SVC清水さま素敵なコメントありがとうございます。
坂本先生の講演会は一度行ってみたいと思っておりましたが、場所が神戸なのですね~。今回は残念ながら参加できませんが、都合があえば是非とも参加したいと思います。また、ブログへのお褒めの言葉ありがとうございます。これからも素敵な本を紹介していきますのでよろしくお願いいたします。
by RONRON (2009-05-15 22:28)
丁寧な御返事ありがとうございました。
セミナーの件は残念ですが(神戸とは知らずに失礼いたしました)、また本のことなど情報交換させていただければと思います。
これからのブログも楽しみにしています!
by SVC 清水 (2009-05-20 10:13)
SVC清水さま
こちらこそご返事ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
by RONRON (2009-05-20 21:18)